半導体材料市場は2030年に前工程用が9兆円に、後工程用は2兆円に:製造マネジメントニュース
富士経済は、AI関連半導体の需要増加に伴って拡大する、半導体材料の世界市場に関する調査結果を発表した。2024年の市場は、前工程材料、後工程材料ともに、前年から一変して活況となった。
富士経済は2025年10月7日、AI(人工知能)関連半導体の需要増加に伴って拡大する、半導体材料の世界市場に関する調査結果を発表した。今回の調査は、前工程向けの26品目と後工程8品目の半導体材料を対象に実施。2024年の市場は、前年から一変して両工程ともに活況となった。
AI関連半導体の需要は引き続き増加しており、2025年は前工程材料で前年比5.8%増の404億ドル(約6兆円)、後工程材料で同9.2%増の107億ドル(約2兆円)に達する見込みだ。今後も順調な市場拡大が期待され、2030年は前工程材料で2024年比46.6%増の560億ドル(約9兆円)、後工程材料で同43.9%増の141億ドル(約2兆円)と予想される。
前工程材料では、ウエハーの使用量増加に伴い、材料全般の伸びが期待される。特に、エッチングの際にウエハー上の必要部分の保護に使用するフォトレジストは、AIやIoT(モノのインターネット)の進展に伴う半導体市場拡大により、需要増加が期待できる。2025年のフォトレジストの世界市場規模は、前年比8.7%増の25億ドル(約3800億円)に達する見込みであり、2030年は36億ドル(約5500億円)と予想される。
半導体製造のCMP工程で用いられる研磨用スラリーは、スマートフォンの出荷数量の伸長などにより、2024年は前年比10%以上の市場拡大となった。ただし、メモリやロジックの生産稼働率がピーク時を下回っていることから、2025年は5%程度の拡大にとどまると予測する。
後工程材料では、AIサーバの伸びにより高度なパッケージ技術が要求されるため、関連材料の出荷が伸びている。中でも、プリプレグとその両面に施される銅箔から構成するパッケージ基板用銅張積層板材料は需要増加が顕著だ。今後もAI関連データセンター向けに高付加価値半導体の出荷が増える、需要増加が期待できる。
2025年のパッケージ基板用銅張積層板材料の世界市場規模は、前年比15.4%増の15億ドル(約2300億円)に達する見込みだ。2030年は20億ドル(約3000億円)と予想される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
2024年の半導体材料の世界市場は需要回復に伴い、前年比9%成長
富士経済は、AI技術などの発展に伴って需要が拡大している世界の半導体材料市場を調査し、その結果を発表した。2024年の同市場は、前年比で9%増を見込む。
2024年の半導体材料世界市場は前年比3.8%増 先進材料の需要が増加
SEMIは、最新の半導体材料市場レポート(MMDS)において、2024年の半導体材料世界市場が、前年比3.8%増の675億ドル(約9兆6652億5750万円)だったことを発表した。
半導体パッケージ基板材料の世界市場予測、2025年は前年比8.7%増
矢野経済研究所は、世界の半導体パッケージ基板材料市場について調査した結果をまとめたレポートを発表した。このレポートによれば、コロナ禍明けの半導体需要の低迷を経て市場は回復し、2025年は前年比8.7%増の4327億5000万円に拡大する見込みだ。
2020年の車載半導体市場は2011年比2倍の403億ドルに、年平均成長率は7.8%
矢野経済研究所の調査によれば、2020年の車載半導体の世界市場規模は、2011年の約2倍となる403億米ドル(約3兆2700億円)まで成長する見込みだ。
半導体実装工程材料、副資材の世界市場は低迷期を脱してプラス成長へ
矢野経済研究所は、半導体実装工程材料と副資材の世界市場に関する調査結果を発表した。2024年の同市場は低迷期を脱し、2025年以降は多くの品目で3〜8%前後のプラス成長を予測する。
