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JFEスチールがCPSで焼結鉱製造設備の品質安定化と生産性向上を推進:製造IT導入事例
JFEスチールは、国内の焼結鉱製造設備7機にサイバーフィジカルシステムを導入した。統合予測モデルで操業を可視化、予測し、品質安定化と生産性向上、温室効果ガスの排出低減を図る。
JFEスチールは2025年10月7日、国内で稼働する全7機の焼結鉱製造設備にサイバーフィジカルシステム(以下、CPS)を導入したと発表した。
CPSとは、実際の製造プロセス(フィジカル)から収集したセンサーデータをAI(人工知能)で解析し、デジタル空間に高度な仮想プロセス(サイバー)を再現し、この2つをリアルタイムにつなぐシステムだ。焼結工程は鉄鉱石の微粉を焼成し、高炉に適した強度と化学特性を持つ焼結鉱へ加工する重要な工程だ。従来は品質管理や操業判断がオペレーターの経験に依存していた。
焼結CPSでは膨大なセンサーデータに基づく統計モデルと、熱化学反応を扱う物理モデルを融合。デジタル空間で将来の操業状態を予測し、操業をリアルタイムにシミュレーションする。ばらつきを抑えつつコークス使用量を抑制して、品質安定化と生産性向上、温室効果ガスの排出を低減する。
同社はCPSを核とする「インテリジェント製鉄所」を掲げ、全製造プロセスのCPS化を推進する方針だ。高炉プロセスは導入済みで、今後は蓄積データとAIを活用し、安定操業と生産性向上を両立させる。
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