モーター角度検出用誘導型位置センサーICの新製品、設計を容易化するツールも:組み込み開発ニュース
ルネサス エレクトロニクスは、モーター角度検出用の誘導型位置センサーICの3製品を発売し量産を開始した。高速、低速の用途向けをそろえ、設計を容易化するWebベースのコイル最適化ツールの提供も始めた。
ルネサス エレクトロニクスは2025年10月9日、モーター角度検出用の誘導型位置センサー(インダクティブポジションセンサー:IPS)IC「RAA2P3226」「RAA2P3200」「RAA2P4200」を発売し、量産を開始したと発表した。産業機器やロボット、医療機器などを対象に、オンラインで素子設計を支援する「誘導型位置センサー コイル最適化ツール」の提供も開始した。
3つの新製品はフルスケール誤差0.1%未満で位置を検出する。RAA2P3226とRAA2P3200は最大600krpm(電気角)に対応し、伝搬遅延は100ns未満。RAA2P3226はデュアルコイル構成で最大19ビット、0.01度の絶対角度検知に対応し、高精度用途に向く。RAA2P3200は高速モーター制御向け、RAA2P4200は医療機器や電動工具などの低速用途向けだ。全製品に自動キャリブレーションとリニアライズ機能を備える。
IPSは金属ターゲットと基板上コイルで角度を検出するため磁石が不要で、周辺磁場に強い。今回のツールはコイルレイアウト、シミュレーション、チューニングを自動化し、製造制約を踏まえた最適化とオンライン試作を容易にする。
車載向けとして、2025年10〜12月期に「RAA2P452x」「RAA2P4500」を発売予定だ。RAA2P452xはデュアルチャネルで、同社マイコンと組み合わせて機能安全(ASIL D)を支援する。設計例として「小型BLDCモータサーボ」「ターンテーブルシステム」も用意する。
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