1GHzで動作する産業用イーサネット対応のモーター制御用マイコン:組み込み開発ニュース
ルネサス エレクトロニクスは、最高1GHzで動作するArm Cortex-M85を搭載したモーター制御用マイコン「RA8T2」を発売した。産業用イーサネットやEtherCATに対応し、高速かつ高精度な制御を可能にする。
ルネサス エレクトロニクスは2025年9月25日、32ビットマイコンRAファミリーの新製品「RA8T2」を発売し、量産を開始した発表した。1GHz動作のArm Cortex-M85を搭載し、産業機器やロボットのハイエンドモーターを、高速かつ高精度に制御できる。
RA8T2はサブコアとして250MHz動作のCortex-M33を搭載し、モーター制御と通信や非リアルタイム処理を1チップで統合できる。Arm Helium対応によるDSP(デジタルシグナルプロセッサ)やML(機械学習)処理の強化により、予知保全などAI(人工知能)機能を組み込み、ダウンタイム削減や運用効率向上に寄与する。
通信機能はギガビットイーサネット2チャネルとEtherCATに対応し、遠隔操作や同期制御、故障検知を可能にする。
不揮発メモリとして最大1MBのMRAMを内蔵する。高速起動と部品点数削減に寄与し、耐久性やデータ保持性にも優れる。さらにCortex-M85向けに256KB、Cortex-M33向けに128KBのTCM(密結合メモリ)を集積し、多数の割り込みを伴う制御処理でも安定したリアルタイム性能を発揮する。
周辺機能として、最大300MHzのPWMタイマーや16ビットA-Dコンバーター、専用サンプルおよびホールド機能を備え、三相電流の高精度同時サンプリングを可能にする。過電流検出時にはPWMを即時遮断でき、制御精度と安全性を高めた。
評価キット「MCK-RA8T2」や開発ツール「Renesas Motor Workbench」、ソフトウェア基盤「Flexible Software Package(FSP)」も提供される。既存のRAファミリーやRXファミリーとーの資産共有を可能にし、開発効率を高める。
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