コスト重視のCortex-M85マイコンを発売:組み込み開発ニュース
ルネサス エレクトロニクスは、最大動作周波数360MHzのArm Cortex-M85プロセッサを搭載した32ビットマイコン「RA8E1」「RA8E2」を発売する。従来品の処理性能を継承しつつ、高度なセキュリティ機能やメモリ容量を必要としない用途向けに開発した。
ルネサス エレクトロニクスは2024年11月5日、最大動作周波数360MHzのArm Cortex-M85プロセッサを搭載した32ビットマイコン「RA8E1」「RA8E2」を発表した。RA8E1用に評価ボードを用意しており、TFTディスプレイを含むRA8E2評価キットは2025年1月〜3月に提供開始する。
両製品は、従来の「RA8」シリーズの処理性能を継承しつつ、高度なセキュリティ機能やメモリ容量を必要としないアプリケーション向けに開発した。CPUコアはCortex-M85、メモリは1MBのフラッシュや544KBのSRAMを搭載。周辺機能として、SPIやI2C、12ビットA-Dコンバーター、12ビットD-Aコンバーター、温度センサーなどを備える。
セキュリティIPコア「RSIP-E51A」は搭載せず、フラッシュメモリやSRAMの容量を抑え、USB High-Speed、I3Cは非搭載にするなどコストを低減した。ディスプレイ搭載機器向けのRA8E2では、対応するディスプレイを最大WVGA(800×480画素)までと絞った。
Mプロファイルベクトル演算拡張機能となる「Arm Helium」を採用し、Cortex-M7プロセッサをベースとするマイコンと比べて処理性能が最大4倍向上した。低電圧動作に加え、複数の低電力モードを備え、システム全体の消費電力を削減できる。
周辺機能を厳選したことで、コスト重視の産業オートメーションやホームオートメーション、コンシューマー機器などに適している。
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