予防保全を限りなく自動化へ、TDKがセンサーからAI分析までを一括で提供:CEATEC 2025
TDKは「CEATEC 2025」で、グループ会社のTDK SensEIが開発した、エッジAIセンサーと通信ネットワーク、AI分析などを一括した「edgeRX Solution」を出展した。
TDKは「CEATEC 2025」(2025年10月14日〜10月17日、幕張メッセ)において、グループ会社のTDK SensEIが開発した、エッジAI(人工知能)センサーと通信ネットワーク、AI分析などを一括した「edgeRX Solution(エッジRXソリューション)」を出展した。独自のセンサー技術やAI技術などを生かし、人手不足に悩む製造現場の保守環境を支援する。
edgeRX Solutionは、AIを搭載したエッジセンサーデバイスを用いて産業機械の状態監視を実現するプラットフォームで、センサーからネットワーク、クラウドでの分析基盤などを統合して提供することで、高度な予防保全を簡単に実現できる点が特徴だ。「製造現場で自動化が進む中、保全業務の重要性は高まっているが、人手不足が進んでおり、これらを自動化や省力化するニーズは高い。edgeRX Solutionはとにかく現場にセンサーを設置するだけで簡単に使える」(担当者)。
エッジAIを組み込んだ振動センサーは、正常データを学習するため、30分〜1時間設置しておくだけで、異常が発生した場合にすぐに検知できるようになる。センサーにはBluetoothを搭載しており、近くに設置したゲートウェイからネットワークを経由してクラウドにデータを蓄積できる。蓄積したデータを分析し、ラベリングすることで、異常内容を種別ごとに管理することなども可能だ。
CEATEC会場では、2つのモーターを連動して動作させる製造現場の設備を想定して振動センサーを設置し、モーターのどちらかに異常が発生した場合などのデモンストレーションを行った。
振動センサーのデータをリアルタイムで分析することで、異常が発生した場合は、すぐに「右側のモーターで異常が発生」など問題のある場所を分析して示すことができていた。「製造現場でこれらの仕組みを独自で構築しようとすると、膨大な手間がかかるが、一括ソリューションとしていることで、問題箇所の特定なども含めて容易に行えるのは強みだ。今後さらに、ダッシュボードなど分析内容のブラッシュアップも進めていく他、センサーの種類も増やしていく」(担当者)としている。実際に、センサーの種類は、振動(加速度)の他、温湿度や音なども検討しているという。
edgeRX Solutionは既にTDKグループ内の工場で実導入されている他、いくつかの導入前実証が進められているという。「ソリューションそのものも簡単だが、われわれは、実導入で成果が出せるように3カ月のPoC(概念実証)をセットで提供している。製造現場では人員的にも時間的にも余裕がない場合も多いが、確実に成果が出るようにサポートも充実している点が強みだ」(担当者)としている。
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