ベトナムでブラックペレット大規模工場が商業運転開始、年産12万tの製造能力:工場ニュース
出光興産はベトナムで建設していた大規模なブラックペレット生産工場の商業運転を開始した。石炭を使用している日本国内の顧客を主な対象に、脱炭素を実現するための代替燃料として、同工場で生産したブラックペレットを供給する。
出光興産は2025年10月9日、ベトナムザライ省(旧ビンディン省)にバイオマス燃料であるブラックペレット(以下、BP)生産工場を建設し、同月8日に商業運転を開始したと発表した。今回の工場は出光興産の100%子会社であるIdemitsu Green Energy Vietnamとなる。
同工場はベトナム初のBP生産工場で、年産12万トン(t)の製造能力を持つ。石炭を使用している日本国内の顧客を主な対象に、脱炭素を実現するための代替燃料として、同工場で生産されるBPを「出光グリーンエナジーペレット(IGEP)」として供給する。
BPは樹木などのバイオマスを加熱処理したエネルギー資源で、燃焼時にCO2を排出するものの、原料の植物が育つ過程でCO2を吸収するため、差し引きで「カーボンニュートラル」を実現するとされている。
出光興産はベトナムで小規模なデモプラントを2020年から操業してきた。これまで、日本国内約20社の顧客がIGEPを試験利用し、石炭の代替燃料として利用可能との評価を得てきた。
IGEPは一般に普及している木質ペレットを半炭化した高カロリー燃料であり、他のバイオマス燃料と比較して石炭に近い取り扱いが可能であるため使用に際し石炭用の既存設備の大規模な改造は必要なく、スムーズな燃料転換が可能だ。
なお、同社は2030年ビジョン「責任ある変革者」に基づき、年間300万tのBP供給という目標を掲げている。
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