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ヤマ発がAIで学習し自ら成長する「MOTOROiD」第3弾を開発、3輪EVは実走モデルにJapan Mobility Show 2025

ヤマハ発動機が「Japan Mobility Show 2025」の出展概要を発表。ワールドプレミアとして、「MOTOROiD」プロジェクトの第3弾となる「MOTOROiD:Λ」、3輪パッケージのフルオープンEVの実走コンセプトモデル「TRICERA proto」などを出展する。

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 ヤマハ発動機は2025年10月8日、「Japan Mobility Show(ジャパンモビリティショー) 2025」(プレスデー:10月29〜30日、一般公開日:10月31日〜11月9日)の出展概要を発表した。世界初披露となるワールドプレミアとして、「MOTOROiD(モトロイド)」プロジェクトの第3弾となる「MOTOROiD:Λ(ラムダ)」、3輪パッケージのフルオープンEV(電気自動車)「TRICERA proto」、大型EVバイクの実走プロトモデル「PROTO BEV」、トヨタ自動車と共同開発中の水素エンジン搭載二輪車のコンセプトモデル「H2 Buddy Porter Concept」、新しいスタイルのeBike(電動アシスト自転車)のコンセプトモデル「Y-00B:Base/Bricolage」を出展する。

 「感じて動きだす」を出展テーマ、「人と機械による乗り物の未来を感じる」を出展コンセプトに、ワールドプレミア6つを含む研究開発中のプロトモデル、電動モーターサイクルシリーズ、eBikeや電動車椅子のコンセプトモデルなど計16モデルを出展する。また、ヤマハの協力により、ボーカロイドの初音ミクがヤマハ発動機ブースのエバンジェリスト(伝道者)を務める他、電子楽器などの展示/演奏に加え、ヤマハの立体音響技術を生かしたダイナミックなステージ演出などを行う。

ヤマハ発動機の「Japan Mobility Show 2025」の展示ブースイメージ
ヤマハ発動機の「Japan Mobility Show 2025」の展示ブースイメージ[クリックで拡大] 出所:ヤマハ発動機

 “ヒトとマシンの新たな関係。その未来”を探る概念検証を目的としたMOTOROiDプロジェクトにおいて、「東京モーターショー 2017」で公開した第1弾の「MOTOROiD」が自立してライダーに歩み寄る実験機であり、前回の「Japan Mobility Show 2023」で披露した第2弾の「MOTOROiD2」はヒトとマシンが呼応し合うというコンセプトになっていた。第3弾に当たるMOTOROiD:Λは、AI(人工知能)技術によって学習し自ら成長するモビリティとして開発された。

「MOTOROiD:Λ」の外観
「MOTOROiD:Λ」の外観。現時点で人が乗って走ることは想定していないという[クリックで拡大] 出所:ヤマハ発動機

 AI技術である強化学習を用いて仮想環境で学習し、シミュレーション技術に基づく「Sim2Real」技術により現実世界での動作を実現します。モビリティが独立した思考を持つことで、ヒトと共に成長し合える新たな関係性への一歩を踏み出すというコンセプトに進化した。主な特徴は、学習によって生成される最適かつ有機的な動作や、失敗における衝撃を想定した耐久性と軽量化重視の外骨格デザインなどだ。「モビリティ×強化学習による運動制御」という未開拓の領域に踏み込み、二輪の世界を刷新し、全く新しい未来を創る実験機となっている。

MOTOROiD:Λの中央部自立することが可能 「MOTOROiD:Λ」の中央部(左)。また、180度に展開した姿勢から、自らの判断で前後輪を含めて4個組み込んでいる各部のモーターを適切に駆動して車体を起き上がらせ、バランスを保ちながら自立することが可能だ(右)[クリックで拡大] 出所:ヤマハ発動機

 TRICERA protoは、新たなドライビングプレジャーを提案する、3輪パッケージのフルオープンEVである。感性に訴える刺激的な旋回性能と、新感覚の操縦感を併せ持ち、意のままに操るための習熟プロセスさえ楽しい3輪手動操舵(3WS)の実走コンセプトモデルとなる。前後輪操舵可能な車両の特徴である旋回応答性の高さと旋回時のドライバー感覚とのつながりに着目し、人間研究視点で最もFUN(楽しさ)を感じる旋回制御とすることで、異次元の人機一体感を実現した。また、走行音をチューニング&調律するサウンドデバイス「αlive AD」を搭載し、操縦に没入するドライバーの高揚感を増幅する。3輪構造を際立たせたセンターフレームによるアーチ型シルエットに加え、人間空間と機能空間の対置表現により独創的なデザインを実現したとしている。

TRICERA protoの外観走行試験も行っている 「TRICERA proto」の外観(左)。実走コンセプトモデルとして走行試験も行っている(右)[クリックで拡大] 出所:ヤマハ発動機

 なお、前回のJapan Mobility Show 2023でも3輪パッケージのフルオープンEV「TRICERA」を出展しているが、TRICERA protoは実装コンセプトモデルに進化している点が異なる。3輪の操舵についても、前輪側の操作に後輪が自動で最適に追従するオートモードに加えて、ステアリング後部に設置したパドルを使って後輪を手動で操作するマニュアルモードが用意されている。

「TRICERA proto」のトップビュー
「TRICERA proto」のトップビュー。独特の構造になっている後輪を手動で操作するマニュアルモードが用意されている[クリックで拡大] 出所:ヤマハ発動機

 PROTO BEVは、大型EVバイクならではのFUNを体現する実走プロトモデルである。FUNの最大化を目的に軽量化とコンパクト化を追求し、新感覚の乗り味と扱いやすさを兼ね備えたスーパースポーツEVバイクで、排気量600〜1000ccの大型二輪車と同クラスとなる。従来の内燃機関モデルで培った優れた操縦安定性に、EVバイクの魅力であるリニアなスロットルレスポンスと力強くスムーズな加速性能を融合した。さらに、クラッチ操作が不要で左手でリヤブレーキ操作を行うなどライダーの手元に集約したシンプルな操作系と、車両の状態をライダーに伝えるメータービジュアライザーやサウンドなど、スポーツ走行に集中できる各種のHMI(Human Machine Interface)を実装している。

「PROTO BEV」の外観
「PROTO BEV」の外観[クリックで拡大] 出所:ヤマハ発動機

 H2 Buddy Porter Conceptは、水素エンジン搭載二輪車の社会実装を目指して、ヤマハ発動機とトヨタ自動車が共同開発中のコンセプトモデルだ。二輪車への搭載に適した小型の高圧水素タンクをトヨタ自動車が新規開発し、ヤマハ発動機は主に水素エンジンや車体などを開発した。水素満タン時からの走行距離は実測で100km以上に達する。また、既存法規を参考に公道走行に関わる技術要件を織り込んでおり、NOxを含むEuro5排ガス規制にも対応済とする。

H2 Buddy Porter Conceptの外観高圧水素タンク 「H2 Buddy Porter Concept」の外観(左)。高圧水素タンクは車体後部にある荷台の底部に組み込まれる(右)[クリックで拡大] 出所:ヤマハ発動機

 Y-00B:Base/Bricolageは、自分らしさを自由に表現できる、新しいスタイルのeBikeのコンセプトモデルである。スリムでミニマルなデュアルツインフレームに、小型で一体感のあるバッテリーとドライブユニットを搭載している。高い拡張性とカスタマイズ性を備え、ユーザーのライフスタイルや感性に寄り添いながら、共に成長する“愛車”を提案する。さらに、付属のUSB-PDコンバーターを使えば、外出先でも手軽に充電できるという。ベースモデルのY-00B:Baseに対してカスタマイズモデルのY-00B:Bricolageは、ヤマハ発動機創立70周年を記念し、同社が1955年に発売した二輪車の第1号製品「YA-1」へのオマージュとして、クラシックな美意識と現代のテクノロジーを融合した、唯一無二のスタイルを体現しているという、

Y-00B:BaseY-00B:Bricolage 「Y-00B:Base」(左)と「Y-00B:Bricolage」(右)の外観[クリックで拡大] 出所:ヤマハ発動機

 これらの他にも、自動車用電動駆動ユニットのe-Axleや、電動システムを活用した二輪車の実装コンセプトモデルである「PROTO HEV」や「PROTO PHEV」なども出展する予定だ。

自動車用電動駆動ユニットPROTO HEVPROTO PHEV 自動車用電動駆動ユニット(左)、「PROTO HEV」(中央)、「PROTO PHEV」(右)の外観[クリックで拡大] 出所:ヤマハ発動機

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