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圧力損失を抑え、高濃度気泡を生成する小型デバイス:医療機器ニュース
パナソニックは、小型で高濃度のファインバブル発生デバイスを開発した。髪のトリートメント浸透を助ける効果も検証され、美容用途への応用が期待される。
パナソニックは2025年9月24日、神戸市立工業高等専門学校と共同で、小型で高濃度のファインバブル(FB)発生するデバイスを開発したと発表した。
同デバイスは、ベンチュリ管入口に球体を配置する独自構造を採用し、水流速度を高めつつ圧力損失を抑え、流量低下を防いだ。内部構造の精密設計により、FBの発生効率も大幅に向上した。水流モードの切り替えにより、ウルトラファインバブル(UFB)とマイクロバブル(MB)のバランスを調整できる。
毛髪に吸着するカルシウムなどの金属イオンは、トリートメント剤の浸透を阻害する。FBのトリートメント剤吸着促進作用は、塩基性染料を用いた代替評価で検証した。その結果、FBのキャリア効果が示されたほか、UFB数の増加に伴い毛髪への吸着促進作用が高まる傾向が明らかになった。
一般女性16人を対象とした洗髪試験では、通常のシャワーよりもFB搭載シャワーの方が、「まとまり感」「やわらかさ感」「ツヤ感」など全ての評価項目で高い効果を実感したとの回答が得られた。
FBは直径100μm未満の微細な気泡の総称で、直径の長さによりマイクロバブルとウルトラファインバブルに分類される。今回の成果は、洗浄や美容など幅広い分野での応用が期待される技術となる。
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