宇宙とつながる、“痛み”を伝える、声を選ぶ――CEATEC AWARD 2025の注目技術:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
JEITAは「CEATEC 2025」の開催概要とともに、出展企業から優れた技術を表彰する「CEATEC AWARD 2025」を発表。シャープが総務大臣賞、NTTドコモが経済産業大臣賞、村田製作所がデジタル大臣賞を受賞した。
他人の”痛み”を共有!? NTTドコモの痛覚可視化プラットフォーム
経済産業大臣賞を受賞したのは、NTTドコモが開発した「“痛み”の共有による相互理解の深化を実現するプラットフォーム」だ。脳波から痛みを測定/数値化して他者と共有できる技術である。
この技術は、共同開発者のPaMeLaのセンシングデバイスと、ドコモが開発した「人間拡張基盤」を連携させることで、個人ごとの痛覚感度を推定し、相手の感覚に合わせて痛みを再現する。
例えば、同じ温度刺激に対する脳波の違いを解析し、数値やグラフ、さらには身体で体感できるデバイスを通じて、言語化が難しい「痛み」の感覚を他者が理解できるようにする。
この技術は、医療現場における患者と医療従事者のコミュニケーションの質向上に寄与する他、スポーツ分野でのトレーニング最適化や、エンターテインメント分野での応用も視野に入れている。また、現時点では外的な痛みに限定されているが、将来的には心の痛みなど内的ダメージの検知も目指す。
マスク表面の振動を検出し話者本人のみの音声を高精度に抽出――村田製作所
デジタル大臣賞を受賞したのは、村田製作所のマスク装着型デバイス「mask voice clip」だ。クリップに搭載されたセンサーをマスクの内側に装着することで、話者本人の声のみを高精度に抽出する音声入力デバイスである。
村田製作所が開発した「Picoleaf(ピコリーフ)」という圧電フィルムセンサーを採用した。これがマスク表面の微細な振動を直接検出し、周囲の騒音や他社の声を物理的に遮断する。これにより、騒音下や複数人が同時に話す環境でも、話者の音声を正確に取得することが可能だ。
デモンストレーションでは、通常のピンマイクは周囲のニュースの音声も拾ってしまっているのに対し、「mask voice clip」は話者の声のみを取得していた。村田製作所の実証では、ノイズ環境下でマイクを使って取得した音声データ認識の文字誤り率(CER)が、従来のピンマイクでは19.7%だったのに対し、mask voice clipで6.1%にまで改善されたという。マスク着用が求められる医療/製造現場や、現場状況の音声記録などへの活用が期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
見えないものを見えるようにするソニーのイメージセンサー、用途提案を推進
ソニーグループは、「CEATEC 2024」に出展し、見えないものを見えるようにするSWIRイメージセンサーなどのセンシング技術を紹介した。
シャープの電子ポスターやVixionのピント調節できる眼鏡がCEATEC AWARD受賞
JEITAは、2024年10月15〜18日に千葉県の幕張メッセで「CEATEC 2024」を開催する。出展される技術中で優れた技術を表彰する「CEATEC AWARD 2024」は、ViXionの「Vixion01S」(総務大臣賞)、シャープの「屋外対応A0サイズ ePoster」(経済産業大臣賞)、CalTaの「TRANCITY」(デジタル大臣賞)などが受賞した。
「昔のCEATEC」はそんなにすごかったのか、数字で見てみた
実は一番驚いたのは来場者数の変化ではありませんでした。
GPUボードの電力損失を垂直電源供給で5分の1に、村田製作所が「iPaS」で実現
村田製作所は、「CEATEC 2024」において、電源回路のコンデンサーやインダクターをパッケージ基板に内蔵することでGPUボードの消費電力を大幅に低減できる部品「iPaS」を披露した。2026年ごろの実用化を目指している。
JEITA新会長は三菱電機の漆間氏、「ソフトウェアデファインド化」に注力
電子情報技術産業協会は新会長に漆間啓氏(三菱電機 代表執行役 執行役社長 CEO)が就任したと発表した。任期は1年間。前会長の津賀一宏氏(パナソニック ホールディングス 取締役会長)は任期満了で退任した。
せっかくのJAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK、仕掛けがもう一段ほしい
第1回としてはまずまずの成功、でも何か物足りないんですよね……。



