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パナソニックが10年ぶりに彦根工場を公開 最新のモノづくりに迫る:スマート工場最前線(4/4 ページ)
パナソニックは報道関係者にシェーバー事業メイン工場である彦根工場内のモノづくりを公開した。本稿では、同工場で「伝統と未来の融合を図るAI活用と自動化」をテーマに取り組むモノづくり変革の一部を紹介する。
KIZUNA館ではパナソニックのシェーバーに関する展示品を披露
彦根工場の同敷地内にある「KIZUNA館」では、パナソニックのシェーバー事業に関する多様な展示品が紹介されている。例えば、グリップ式シェーバーの断面図とパームインの断面図を比較し、設計面の工夫を示している。断面図でグリップ式シェーバーと比較すると、パームインのヘッド部分にはたくさんの部品が詰め込まれているのが確認できる。
パームインの70周年モデルの試作品展示では、商品化が決まるまでに試作した60個以上にも及ぶサンプル品を展示。外観のマーブル模様を決定するまでに、約200種類以上のサンプル品を作成している。
また、パームイン開発のために作った最初期の試作品も披露した。初期のパームイン試作品については「グリップへの未練が感じられるデザインで、顧客にどのような価値を提供できるのかがはっきりとしなかったため、一度お蔵入りになった。その後、初期の試作品を覚えていたデザイナーから『もっとかっこよくできるのではないか』と提案を受け、そこから現在のパームインのデザインにつながっている」(商品企画担当者)と語る。
初期のデザインから試行錯誤を繰り返す上で、基板の見直しも実行した。手のひらに違和感なく収めるために、基板を3つにまで分解して隙間の中に入れ込んだことで、現在のパームインのサイズ感、高さが実現している。
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