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ウエスタンデジタルは2027年下期にHAMR方式へ移行、日本の活動重視し大型投資も:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
ウエスタンデジタル CEOのアーヴィン・タン氏が事業戦略について説明。大容量化などHDDの技術開発を加速するため、神奈川県藤沢市にある同社拠点をはじめ日本において5年間で10億米ドルを投資する計画である。
日本のアカデミアとHDDの先端研究に取り組む、生産自動化でも強み
HAMRなどウエスタンデジタルにおけるHDDの次世代技術開発の一端を担っているのが、藤沢の研究開発拠点を中核とする日本での活動だ。
ウエスタンデジタルは2011年にはHGST(日立グローバルストレージテクノロジーズ)を買収している。そのHGSTはIBMのHDD事業を買収しており、藤沢の研究開発拠点はIBM時代から継続して日本国内でHDDの先端開発を行ってきた。ウエスタンデジタルの日本の従業員数は1000人以上いるが、HGST、IBM、ウエスタンデジタルからの人員がそれぞれ約3分の1ずつで構成されている。
ジャパンカントリーオフィサーの高野氏は「日本はスピントロニクスや磁性材料、金属材料の先端研究が進んでおり、ウエスタンデジタルはNIMS(物質・材料研究機構)をはじめとするアカデミアの協力を得て開発を進めている。HDDの磁気記録技術だけでなく、生産自動化のためのロボティクス技術にも強みがある」と述べる。
また、HDDの部品や材料のサプライヤーが多くいることも日本で研究開発を行う利点の一つになっている。実際に、ウエスタンデジタルが2025年度(2025年6月期)に日本のパートナーやサプライヤーに支出した金額は15億米ドル(約2210億円)に上るという。
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