対話型AIで3Dモデルもパワポ資料も オートデスクが示す未来のモノづくりが熱い:Autodesk University 2025(3/3 ページ)
Autodeskは年次イベント「AU 2025」を開催した。本稿では、初日の基調講演に登壇した同社 社長 兼 CEOのアンドリュー・アナグノスト氏の講演内容から、設計/製造に関するトピックスを中心に紹介する。
プレゼン資料の作成もAIにお任せ
最終段階では、Microsoft(マイクロソフト)との提携により、ステークホルダー向けのプレゼン資料を自動生成する機能が紹介された。Autodesk Assistantに「プレゼン用の素材を作成してほしい」と指示すると、「Azure OpenAI Service」や「GPT Image 1」を活用して複数のデザインバリエーションを作成し、それぞれを異なる環境に配置した画像を生成。さらに、タイトルやキャッチコピーまで付与して「PowerPoint」の資料を完成させる。
この一連のプロセスは「Microsoft 365」とシームレスに連携しており、エンジニアは資料作成という単調な作業から解放され、より付加価値の高い業務に集中できるようになる。
製品設計が完了すると、金型設計部門がInventorを使って最終設計を進める。Fusionとのクラウド連携により、設計変更はリアルタイムで共有される。ここで共有されるのはファイルではなく、クラウドを介した粒状データだ。これにより、設計から製造への移行が途切れることなく進行する。
さらに、3D離散イベントシミュレーションソフトウェア「FlexSim」を活用することで、生産ライン全体をデジタル上で再現し、最適化できる。設計と製造、さらに建設領域向けソリューションを組み合わせることで、工場を“デジタルで生き生きと再現”することが可能になるという。
講演の最後、アナグノスト氏は「これこそがFusionのエンドツーエンドワークフローだ。Fusionはクラウドベースで、AIネイティブ、そして完全なエンドツーエンドを実現する。限られたリソースでより多くのプロジェクトを成功させ、より多くの製品、より多くの工場を設計し、より高い品質を達成することで、無限のキャパシティーを解き放てる」と締めくくった。
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