パナソニック初のこがずに走れる電動モビリティ、自転車部品を活用した設計が強み:電動化
パナソニック サイクルテックは特定小型原動機付自転車「MU」を2025年12月上旬に発売する。同社初の「こがずに走れる、免許のいらない電動モビリティ」であり、250W出力のモーターを備え、車道モードで最高時速20km、歩道モードで同6kmによりペダルをこがずに走行できる。
パナソニック サイクルテックは2025年9月25日、特定小型原動機付自転車「MU(エムユー)」を同年12月上旬に発売すると発表した。MUは、同社初の「こがずに走れる、免許のいらない電動モビリティ」(ニュースリリースから抜粋)となる。250W出力のモーターを備え、車道モードで最高時速20km、歩道モードで同6kmによりペダルをこがずに走行できる。価格(税込み)は23万4000円。
MUは、2023年7月に施行された改正道路交通法によって創設された新たな車両区分である特定小型原動機付自転車だ。電動キックボードのシェアリングサービスを中心に導入が広がりつつある中で、電動アシスト自転車の国内大手メーカーとしてパナソニック サイクルテックも特定小型原動機付自転車の開発を進めてきた。
MUの開発では、着座式構造や路面の起伏や段差に適した自転車用タイヤの採用など電動アシスト自転車に関する知見が反映された。また、自転車部品を活用した設計は、自転車販売店での修理やメンテナンス対応が容易になるというメリットも生み出している。MUの形状は、シート付きの自転車型となり、バッテリーを含む多くの部品に電動アシスト自転車と共通のものが採用された。
MUは、車道通行や歩道への乗り上げ、歩道での押し歩きなど、さまざまな路面状況での走行を想定し、安定性と取り回しに優れた車体と20インチタイヤを用いている。特定小型原動機付自転車の利用シーンから足をつく機会が多いことも想定し、剛性の高い自転車型をベースに乗り降りを重視して、足つきが良くまたぎやすいU字フレーム形状とした。
坂道での出力を制御するための加速度センサーを搭載した。250Wのモーター出力により12度の斜面を登るパワーを備えつつ、センサーで出力を制御することでスムーズな坂道発進を実現したとする。バッテリーは電動アシスト自転車と共通仕様で、簡単に取り外して自宅に持ち込んで充電できる。急速充電にも対応する。バッテリー容量は16.0Ahで、1充電当たりの走行距離は40kmだ。
特定小型原動機付自転車は主に車道や自転車道などを通行することが想定されており、原則歩道は通行できない。ただし、最高速度表示灯を点滅させ時速6kmに制限する構造を持つなどの条件を満たす場合には、「特例特定小型原動機付自転車」として歩道走行が可能になる。MUは、最高時速6kmの歩道モードを搭載しており、特例特定小型原動機付自転車としての利用が可能だ。なお、MUの電源を入れた際は歩道での走行を想定して最高時速6kmの歩道モードに制限される。最高時速20kmの車道モードへの切り替えは、歩道モードから一度停止して行うことになる。
MUは、特定小型原動機付自転車に求められる保安基準に適合するだけでなく独自の基準を定めて品質試験を実施しており、製品の品質管理を徹底しているとする。フレームに繰り返し荷重を加えて破損や変形に至るまでの耐久性を測定する「フレーム疲労試験」や、制動性能と耐久性の両面を確認する「ブレーキ性能試験」、雨天時の走行や沿岸部での使用、経年劣化による錆びつきなどを確認する「塩水噴霧試験」などを実施している。
さらに、製品保証やバッテリー保証、盗難補償優遇制度を標準で提供する。製品保証では、本体で1年、フレーム/フロントフォークで3年、駆動ユニットで3年の期間内において品質不良や欠陥が生じた場合には、購入した販売店で無料で修理を受けられる。バッテリーについては、製品登録を完了から3年間の保証を提供する。盗難補償優遇制度は、購入後3年以内に盗難にあった場合に適用され、車体価格の30%と組み立て手数料4400円(いずれも税込み)で盗難車と同タイプの新車を購入できるという内容だ。
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