レゾナックが自動車用樹脂成形品事業を森六に譲渡、グローバルな生産体制を評価:製造マネジメントニュース
「ベストオーナー」は森六だった。レゾナック・ホールディングスが、高い技術力を持ちながらもグローバル展開に課題を抱えていたレゾナックの自動車成形部材事業を森六に譲渡する。この決定の背景には、持続的成長を目指すレゾナックの事業ポートフォリオ見直しと、森六の持つグローバルな生産体制への期待があった。
レゾナック・ホールディングスの連結子会社であるレゾナック(REC)は2025年9月24日、RECの日本とタイにおける自動車成形部材事業を、森六に譲渡することを同日に決定したと発表した。
事業譲渡の手順は以下の通りだ。RECの完全子会社であるレゾナック・オートモーティブプロダクツ(RAP)が、同社の関西事業所において営む事業を、吸収分割によりRECに対して承継させる。次にRECが、同社の自動車成形部材事業、RAPの全発行済み株式とタイのResonac AutomotiveProducts(RAPT)のREC保有持分の全てを、吸収分割によりRECが新たに設立する完全子会社に対して承継させる。これらの会社分割を通じて対象事業が集約された新会社の株式の全てを、森六社に譲渡する。
なお、今回の取引に関しては、森六における国内外の競争法その他の法令などに基づき必要なクリアランスやその他必要な条件などを満たした後、完了する見込みだ。
グローバルな生産体制を持つ森六がベストオーナーと判断
レゾナック・ホールディングスの自動車用樹脂成形品事業は、1965年に旧日立化成において自動車用内外装成形品の製造/販売を開始したことを起点としている。2001年には国内初の樹脂製バックドアモジュール、2016年には世界初となる自動車外装部品に適用可能な樹脂射出発泡成形品(同社調べ)の製造と販売を開始した。特に軽量化技術においては高い優位性を有している。この技術により製造した高品質な自動車向け樹脂成形品を国内外の大手自動車メーカーをはじめとする優良な取引先に対して納入してきた実績がある。
一方、自動車メーカーが国内外に多くの生産拠点を展開する中、レゾナック・ホールディングスではグローバルな生産体制の構築が進んでおらず、新規事業を拡大する上でボトルネックになる場面も見受けられ、課題となっていた。
レゾナック・ホールディングスグループは、2020年に公表した「統合新会社の長期ビジョン(2021〜2030)」で示した通り、世界トップクラスの機能性化学メーカーとして、持続可能な社会へ貢献することを目指している。その実現に向けて、継続的にポートフォリオの見直しを図ることで、持続的な成長を実現することを目標としている。
こうしたビジョンに基づき、最適な経営資源の配分と事業ポートフォリオマネジメントを検討する中で、対象事業の在り方について、あらゆる選択肢を慎重に検討した。
その結果、対象事業の成長を支える戦略適合性/ベストオーナーの観点から、高い技術力とグローバルな生産体制などを有し、自動車用樹脂成形部品の製造販売事業に豊富な知見と経験を持つ森六の下で事業拡大を図ることが最適であると判断した。そこで、レゾナック・ホールディングスは森六との間で今回の取引を推進することを決めた。
さらに、RECの日本とタイにおける自動車成形部材事業が、自動車内外装部品メーカーである森六が保有する加飾、電装、軽量化技術などとのシナジーにより、高い付加価値の創出が期待できると判断している。また、対象事業が蓄積してきた技術力、商品力、顧客基盤についても、森六から高く評価されている。
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