生成AI需要を捉えたパナソニック エナジーのESS事業、売上高が年率70%で成長中:イノベーションのレシピ(3/3 ページ)
パナソニック エナジーが、パナソニックグループが注力する「ソリューション領域」に当たるエナジーストレージシステム(ESS)の事業戦略について説明。AIデータセンター向けの需要が急拡大する中で、ESS事業の売上高は2023〜2025年度の3年間で年平均成長率70%以上に達する勢いになっている。
「圧倒的な供給力」も重視
BBU自体の進化も継続しなければならない。データセンターではサーバラックなどのサイズが規格化されていることもあり、例えばBBUの出力を増やす場合でもサイズを大きくすることはできない。加藤氏は「次世代品ではサイズを変えずに出力を2倍にすることが求められている。この場合、内蔵するDC-DCコンバーターを含めて発熱が大きくなるので高エネルギー密度化と熱マネジメント強化の両方を解決しなければならない。これらの二律背反する課題の解決は極めて困難だ」と述べる。
ESS事業が顧客に対するイニシアチブを取り続ける上で重視しているのが「圧倒的な供給力」(加藤氏)である。現在、電池セルは徳島工場(徳島県松茂町)で、電池モジュールやBBUなどのシステム製品は国内EMSで生産している。ただし、国内で生産方法を含めて開発を完了したシステム製品は、パナソニック エナジー メキシコで大規模生産に移行することで「圧倒的な供給力」を実現している。
ESS事業の売上高は2023〜2025年度の3年間で年平均成長率70%以上で伸びている。2026年度以降は、ポジションニングを電池メーカーから電源ソリューションプロバイダーに移行することでさらに大きく売上高を伸ばす見込みである。利益面でも、パナソニック エナジー全体の営業利益率13.8%を上回るなどけん引する役割にある。
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