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ペロブスカイト無機材料の新開発手法、AIがバンドギャップを精密に予測/設計研究開発の最前線

北海道大学は、機械学習によってバンドギャップ(光吸収の指標)を精密に予測/設計できるペロブスカイト無機材料の開発手法を確立した。

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 北海道大学は2025年8月20日、機械学習によってバンドギャップ(光吸収の指標)を精密に予測/設計できるペロブスカイト無機材料の開発手法を確立したと発表した

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文献データから材料合成までの道筋[クリックで拡大] 出所:北海道大学

 今回の研究チームは、過去の実験文献から収集した282種のペロブスカイト型化合物のバンドギャップ情報を基に、構造情報と元素の特徴から数千種類に及ぶ記述子(特徴量)を生成した。その後、独自に開発したアルゴリズム「MonteCat法」で24個を選抜し、サポートベクター回帰モデルを構築。これにより、構造や組成に基づいてバンドギャップを高精度で予測するモデルを開発した。

 このモデルを用いて、理論的に安定とされる1852種類の仮想ペロブスカイト化合物のバンドギャップを予測した。その中から、太陽光応用に適した0.45〜2.2eVのバンドギャップと構造安定性を満たす86種を抽出し、LaCrO3、LaFeO3、YFeO3、YCrO3の4種を実際に合成した。合成後に行った、X線回折、走査電子顕微鏡、紫外可視近赤外分光による評価では、構造、組成、バンドギャップが予測通りの特性を持つことを確かめた。

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合成した材料のXRDピーク。(a)LaFeO3、(b)YFeO3、(c)LaCrO3、(d)YCrO3[クリックで拡大] 出所:北海道大学
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合成した材料(LaFeO3)の電子顕微鏡画像[クリックで拡大] 出所:北海道大学

 同研究により、構造/組成の情報から機械学習で記述子抽出、バンドギャップの予測、実際に合成、物性評価で検証という、機械学習と実験を融合した材料開発フローの構築に成功した。

 今後は磁性や誘電性、熱電など他の物性領域にも記述子ベースのアプローチを応用することで、より多様で高機能な材料の発見が期待される。

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