製造業の人材不足を効果的に支援、技術者のスキル管理とスキルデータ基盤を展開:製造ITニュース(2/2 ページ)
スキルノートは、従来の「技能者」だけでなく「技術者」を対象としたスキル管理ソリューションと、これらのデータを経営や人事に生かせるプラットフォームを新たに提供する。
得られたスキルデータを多用途で活用する「スキルデータプラットフォーム」
もう1つが、「スキル」を軸に戦略人事を実現するためのデータ基盤「スキルデータプラットフォーム」だ。
スキルデータプラットフォームは、事業部や拠点ごとに管理しているスキルマネジメントシステム上のスキルデータ、人事システム内にある従業員情報、外部の求人情報などを収集、蓄積し、生成AIによって誰もが使えるスキルデータに変換し、活用できるようにする基盤だ。さらに、「人材サーチAI」機能などによって、組織横断による特定スキルや経験を持つ人材の検索ができる。現場のスキル情報を全社レベルで共通の言語として統一することで、経営や人事がデータに基づいた根拠のある戦略人事を実現できるよう支援する。
スキルデータプラットフォームについては、シチズン時計と住友重機械工業との協業で機能開発と検証を行っている。2025年9月にプロトタイプを構築し、同年10月にはスキルデータの流し込みと機能強化を行う。2025年12月にはベータ版の検証を開始し、2026年夏には正式リリースを行う計画だ。
パートナーとして機能検証などを進めているシチズン時計 人事部 部長の小林由佳氏は「技能継承は製造業にとって大きな課題となっているが、人事部の立場として、製造現場のスキルは読み解くのが難しく、これらを管理するのは難しかった。スキルノートさんと一緒に進めることで、これらが見えるようになることで逆算型の技能継承を効率よく進められる」と述べる。
スキルデータプラットフォームでは、AIによる自動変換で、スキルの名寄せや統合、構造化などを簡単に進めることができる点が特徴だが、各工場などがバラバラに管理していたスキルを統合するのは簡単なことではない。これらに対しスキルノートの山川氏は「もともとスキルノートでは、スキル管理におけるコンサルテーションなども行ってきており、これらのノウハウが蓄積してきたことも新サービスを用意する大きなポイントとなっている。これらのノウハウがあるため、ある程度実効性を持って名寄せやモデル化ができる」と強みについて語っている。
スキルデータプラットフォームについては、2026年夏のリリース後2028年末までに30社、30万人の利用を目指すとしている。「人が輝く製造業の未来像に向けて、新たな提供価値を積極的に届けていきたい」と山川氏は今後の抱負について述べている。
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