包装設備にスマートファクトリー、JAPAN PACK 2025で訴えるIoT化の潮流とDX/GX:JAPAN PACK 2025
日本包装機械工業会は、「JAPAN PACK 2025 日本包装産業展」の概要を説明した。
日本包装機械工業会は2025年8月19日、東京都内で記者会見を開き、「JAPAN PACK 2025 日本包装産業展」の概要を説明した。
特別企画「包装×DX」「包装×GX」で新たな価値創出
JAPAN PACK 2025は2025年10月7〜10日、東京ビッグサイトの東展示場4〜8ホールを使って行われる。食品や医薬、化粧品、日用品、工業製品などの生産現場における自動化や効率化、持続可能な社会への対応などをテーマとし、同年8月19日時点で572社/団体の出展が決まっており、総コマ数は2024となっている。前回のJAPAN PACK 2023より、152社/団体、151小間増加している。キャッチコピーは「BEYOND|包むで創る 人と未来と」になっている。
イーデーエム 代表取締役社長でJAPAN PACK 2025実行委員長の安達拓洋氏は「前回はキャッチコピーを『未来への包程式-当たり前のその先へ-』に設定したが、今回の『BEYOND|包むで創る 人と未来と』には、さらにその先にあるより大きなソリューションを表現したいという思いが込められている」と語る。
分類別の出展者は包装機械/荷造り機械が129、包装資材/容器が134、ロボット/機械部品および要素技術/包装関連機械/検査機および検出機が100となり大きな割合を占めている他、デジタル技術/ソフトウェア/エンジニアリングおよびシステムが39となっている。「出展者数の伸び率としてはデジタル技術関連が28社増と最大になっている。生産性向上やリモートメンテナンス、人手不足解消、属人化解消、技術伝承などの課題に対して包装と最先端技術による多様な解決策が紹介される」(日本包装機械工業会 事務局 次長の阿部公拓氏)
特別企画として「包装×DX」「包装×GX」コーナーを設け、包装を軸にしたDX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)分野における最新製品、技術、サービスなどを紹介。DX分野では、生産性向上、人手不足解消、属人化解消/技術伝承、リモートメンテナンス、GX分野では、環境配慮設計、省エネ/省資源、包材使用量削減、食品ロス削減などの課題解決に向けた取り組みを発信する。
少子高齢化による人口減少をはじめ、世界的な気候変動による温暖化の進展、さまざまな紛争を含めた不確実性の高まりなど、さまざまな産業がかつてない変革期に直面している。
日本包装機械工業会 専務理事の金澤信氏は「包装産業は社会生活を支える重要なインフラであり、その役割はむしろ拡大している。従来の機能に加えて、デジタル化、サステナビリティへの対応、そして社会課題の解決への貢献の役割が非常に大きくなってきている。その中で分かりやすくDX、GXという2つの分野に絞り、次世代につながる価値観を提供したい」と述べる。
「われわれはDX、GXの専門家ではないが、包装産業に携わるわれわれが意識しているリアルなDX、GXが表現できるのではないかと考えている。個々の企業による発信ではなかなか伝わりにくいが、チームとしてセミナーをしたり、ブース巡回ツアーをしたりすることで、一緒になって盛り上げていきたい」(安達氏)
IoT標準化指針をデータ連携を会場で披露、企業連携も
IoT特別展示コーナーでは、2025年5月に策定された包装システムにおけるIoT標準化指針「JPack-Fmt」を使ったデータ連携を実践する。これまでメーカー間でバラバラだった機械データを統一フォーマットで一括表示し、工場全体の最適化を図る。
包装機械産業では、各社が構築してきたIoTシステムにおける”データの孤島化“が大きな問題になっている。工場間またはライン間をまたぐとデータの意味が通じなくなってしまうためだ。
日本包装機械工業会 技術部 部長の桝矢隆一氏は「これは同じ意味の言葉を話しても、日本語と中国語など違う言語で会話しているようなものだ。JPack-Fmtではこれらの言葉と定義を統一して、異なるメーカーの機械データを同じ言葉 、同じ意味で同一ダッシュボードに表示できるようになる。包装産業にとって、まさにゲームチェンジャーとなる技術だ」と話す。
2025年7月に発足した、生産設備データ標準化コンソーシアムに関しても会場で詳細を展示する予定だ。同コンソーシアムは、味の素、味の素食品、カルビー、サントリー、ハウス食品、明治およびアビームコンサルティングが参画しており、JPack-Fmtの技術が重要な技術基盤になっているという。
「従来は、それぞれ単体の機械で稼働していたが、それらがネットワークでつながることで、スマートファクトリーとして連携して1つのシステムになっていく。包装産業、包装設備が、来場者が思う以上に未来への可能性にあふれていることを伝えたい」(安達氏)
その他、「包装ライフサイクルコーナー」では、個別企業では解決が困難な調達から使用、再生までの包装ライフサイクルの課題に対して、「“C”でつなぐ未来の循環」をテーマに、ステークホルダーが連携して情報を発信する。「CLOMAパビリオン」では、クリーンオーシャンマテリアルアライアンス(CLOMA)の会員企業26社/団体が、「新素材/代替素材の提案」「環境配慮設計」「プラスチックの適正使用」など容器包装のこれからの役割やトレンドを紹介する。
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