DICがインドネシアに食品用コーティング剤設備を新設、HACCP準拠の設計を世界初採用:工場ニュース
DICは、インドネシアの100%子会社であるDICグラフィックスの工場内に、食品接触可能な機能性コーティング剤の生産設備を新設した。
DICは2025年8月19日、インドネシアの100%子会社であるDICグラフィックスの工場内に、食品接触可能な機能性コーティング剤の生産設備を新設したと発表した。なお、DICグループが食品接触可能なコーティング剤専用の生産拠点を日本以外のアジア地域に設けるのは初めてだ。
新設備は、食品衛生管理に関する国際規格「HACCP(ハサップ)」に準拠した設計を世界のインキ業界で初めて採用(DIC調べ、HACCP認証申請中)し、一般的な食品メーカーと同等レベルの衛生管理体制を実現している。インドネシアのハラル認証にも対応し、食品や医薬品といった製品の品質と安全性を確保するための基準である「GMP基準」にも準拠している。
さらに、食品用途に求められる高い安全性と品質を両立した生産体制を実現すべく、エアシャワーやHEPAフィルター付きのダスター、抗菌仕様の床材なども備えている。
同設備で生産量を増やす予定の製品は、紙用機能性コート剤「HYDRECT」や「SunStar DFC OPV/Coating」などだ。これらの機能性コーティング剤は、紙やフィルムなどの基材に塗布することで、耐水性や耐油性、シール性を備えられる他、リサイクル適性にも優れ、パッケージの単一素材化(モノマテリアル化)にも貢献する。
用途としては、紙用ランチボックス、ピザボックス、バーガーラップ、ペーパーカップなどを想定している。
今後は、中国を含むアジア諸国およびオセアニアの市場に向け、新設備を活用して、2030年までに食品接触可能な機能性コーティング剤の年産1000トンを目指す。アジア地域における輸出拠点として、地政学的に戦略的な立地に位置していることから、将来的にはさらなる設備増強も視野に入れている。
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