DICは2025年8月1日、千葉工場(千葉県市原市)にエポキシ樹脂プラントを新設することを決定したと発表した。同投資計画は経済安全保障推進法に基づく「供給確保計画」として経済産業省から認定されており、最大で30億円の助成を受ける予定だ。
エポキシ樹脂は反応性が高い熱硬化型の樹脂で、優れた成形性、耐熱性、電気絶縁性、接着性などの特性があり、幅広い産業で活用されている。DICはエポキシ樹脂の製造/販売を1986年に開始し、原料から製品まで一貫して分子設計する開発体制と、量産化ノウハウを強みに、エレクトロニクス分野向けに高機能のエポキシ樹脂を提供してきた。
昨今、通信技術の高速化と大容量化によって、高耐熱化、寸法安定性の向上、伝送損失の低減が要求される半導体用途において、エポキシ樹脂のニーズが高まっており、安定供給が求められている。
しかし、DICの千葉工場内に設置されたエポキシ樹脂の既存生産プラントが有している供給能力では、将来に生じる需要増加に対応できない。この課題を踏まえ、同社は千葉工場の既存プラントの隣接地に新規プラントを建設することで、半導体用エポキシ樹脂の生産能力を59%増強する。これにより、半導体用エポキシ樹脂の中長期的な生産能力を確保する他、新規生産プロセスの導入により高い品質や生産性向上を実現し、競争力の強化を図る。
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