ソニーグループが過去最高の第1四半期業績、ゲームとイメージセンサーが好調:製造マネジメントニュース
ソニーグループは、2026年3月期第1四半期の連結業績を発表した。売上高、利益ともに第1四半期としては過去最高の業績となった。
ソニーグループは2025年8月7日、2026年3月期(2025年度)第1四半期(4〜6月)の連結業績を発表した。
第1四半期としては過去最高業績を達成
ソニーグループの2025年度第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比2%増の2兆6216億円、営業利益が同36%増の3400億円、税引き前利益が同24%増の3566億円、四半期純利益が同23%増の2590億円となった。ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野、半導体などのイメージング&センシングソリューション(I&SS)分野が好調で、売上高、利益ともに第1四半期としては過去最高の業績となった。
ソニーグループ 執行役 CFOの陶琳(たお・りん)氏は「G&NS、I&SS、音楽分野を中心に大きく利益成長ができた四半期だった。経営目標に対しても順調に推移できたと評価している」と業績について説明する。
モノづくりに関わる分野をセグメント別に見ると、G&NS分野は、自社制作以外のゲームソフトウェアの販売が増加した他、ネットワークサービスが好調で、増収増益となった。月間アクティブユーザー数は前年同期比で6%増加し、着実にユーザーエンゲージメントを高めていることが高収益につながり、営業利益は四半期ベースでは過去最高となった。
陶氏は「PS5をプラットフォームとしてPS4の同時期と比較すると、月間アクティブユーザー数は32%増、コンテンツサービス売り上げは50%増と大幅に拡大している。これらのユーザー基盤を生かし2026年度以降も継続的に成長ができる見込みだ」と手応えについて語る。
I&SS分野は、モバイル機器向けイメージセンサーが販売数量で回復した他、製品ミックスの改善が進み、増収増益となった。「スマートフォン端末の市場環境は緩やかに改善しており、センサー数量の増加やドルベースでの単価成長などがあった。ただ、米国追加関税の影響で前倒し需要があったともみられることから、年間では前年度並みに収まるとみている。第2四半期以降は、大判化と高付加価値化で為替などが悪化しても成長を実現する」と陶氏は述べている。
テレビやデジタルカメラなどのエンタテインメントテクノロジー&サービス(ET&S)分野は、テレビの販売台数減少と為替の悪影響により減収減益となった。ただ「テレビで他社の価格攻勢に押されたが、その他製品分野については想定通りだった」と陶氏は説明する。また、製品不具合などで苦戦が目立ったスマートフォン端末事業については「スマートフォン端末のビジネスはソニーグループにとって重要である。スマートフォン端末以外にも活用する重要な通信技術の開発に貢献するなど、引き続き大事に育てたい」との考えを示した。
米国関税の影響は700億円のマイナス影響
米国追加関税の影響については当初は年間で1000億円規模のマイナス影響があると見込んでいたが、日米関税交渉の結果を受け300億円改善し、700億円のマイナス影響とした。「関税交渉が大きく進展したが、品目別では流動的な部分が残り、影響は複数のシナリオで見極めていく。現時点では8月1日時点の情報を基に概算値を示す」(陶氏)。
ただ、対策として進めてきたサプライチェーンの複線化は順調に切り替えが進んでおり2025年9月末までには完了する見込みだという。「G&NS分野のゲームコンソールの生産は、既に米国向けは中国以外の場所での生産に切り替えた。一部周辺機器の生産は中国生産が残っているがそれも上期中には切り替える計画だ」と陶氏は説明している。
また米国大統領のドナルド・トランプ氏による「半導体にも100%の関税をかける」との発言や、それに伴いアップルなども米国生産品の調達を増やすとした報道があったことに対しては「特定の顧客に関する質問には答えられないが、一般的な話として、現在ソニーグループは米国に半導体生産拠点はなく、短期的に米国で生産対応を行うことは難しい。優れた製品を提供することで価値を提供することに注力したい」とソニーグループ 執行役員 コーポレートエグゼクティブの堀井直也氏は説明した。
通期業績見通しについては、売上高は前回予想と変更していないが、営業利益を500億円増、税引き前利益を700億円増、純利益を400億円増と上方修正した。陶氏は「第2四半期以降、米国関税など不確実なことも多く見込まれており、リスクに備え、変化を先取りする事業運営に注力する」と述べている。
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