廃プリント基板の資源循環スキームで、パナソニックと三菱マテリアルが組む理由:素材/化学インタビュー(3/4 ページ)
パナソニックETソリューションズ 企画担当 CEエキスパートの田島章男氏と三菱マテリアル 金属事業カンパニー 資源循環事業部 事業開発部 企画室 室長の古賀沙織氏に、金属資源循環スキーム「PMPループ」の構築背景や概要と特徴、効果、採用事例、今後の展開について聞いた。【訂正あり】
PMPループの概要と特徴とは?
MONOist PMPループの概要と特徴について教えてください。
田島氏 パナソニックと三菱マテリアルは、PMPループ構築以前から、パナソニック エコテクノロジー関東(茨城県稲敷市)や中部エコテクノロジー(三重県四日市市)といった家電リサイクル工場の共同運営で連携していた。
田島氏 PMPループの構築以前、家電リサイクル工場で取り出した廃プリント基板は、商社などを通じて回収され製錬会社で金属原料に再生されていたが、原料化された金属原料は一般市場で販売され、資源としてパナソニックグループに戻すループは未構築だった。
田島氏 PMPループは、家電リサイクル工場から排出される廃プリント基板を、パナソニックETソリューションズが購入し、中間処理会社(リバーやトーエイなど)で鉄とアルミを取り除き、金、銀、銅のアップグレード処理(銅製錬における不要物除去による品位向上)を行った後、三菱マテリアルの直島製錬所で製錬する。
田島氏 次に、パナソニックETソリューションズのグローバル調達本部が製錬された金、銀、銅の地金を受け取り、金属加工メーカーや三菱マテリアル若松製作所(福島県会津若松市)で加工してもらう。金属加工メーカーがメッキ材やワイヤに加工した金は一般市場で販売。金属加工メーカーがロウ材とメッキ材に加工した銀や、三菱マテリアル若松製作所が条に加工した銅は、パナソニック グループの工場に送られ、製品の材料として使用される。
田島氏 リバーやトーエイなどの中間処理会社では、銅製錬で不要となる鉄とアルミを除去することで品質を高め、製錬工程に投入しやすいサイズに加工。除去した鉄とアルミは、スクラップ鉄/アルミとして、それぞれ素材ごとの資源循環ループへ売却する。
PMPループの大きな特徴は、三菱マテリアルが廃プリント基板を買い取るのではなく、処理費用を受け取って、金、銀、銅などの地金をパナソニックグループに返却する「委託加工」の形を取っている点だ。これにより、資源のトレーサビリティーを確保し、パナソニックが自社製品への再生素材利用を継続的に行うことが可能になる。
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