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インタビュー

廃プリント基板の資源循環スキームで、パナソニックと三菱マテリアルが組む理由素材/化学インタビュー(2/4 ページ)

パナソニックETソリューションズ 企画担当 CEエキスパートの田島章男氏と三菱マテリアル 金属事業カンパニー 資源循環事業部 事業開発部 企画室 室長の古賀沙織氏に、金属資源循環スキーム「PMPループ」の構築背景や概要と特徴、効果、採用事例、今後の展開について聞いた。【訂正あり】

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三菱マテリアルがPMPループを構築した背景とは?

三菱マテリアル 金属事業カンパニー 資源循環事業部 事業開発部 企画室 室長の古賀沙織氏
三菱マテリアル 金属事業カンパニー 資源循環事業部 事業開発部 企画室 室長の古賀沙織氏 出所:三菱マテリアル

MONOist 三菱マテリアルがPMPループを構築した背景を教えてください。

古賀沙織氏(以下、古賀氏) 三菱マテリアルは、「都市鉱山」から金属を回収することの重要性を認識していたため、廃電気/電子機機器から発生するスクラップ「E-Scrap(イースクラップ)」のリサイクルに1990年代から取り組んでいる。

 当社では、独自の高効率/無公害な製錬プロセス「三菱連続製銅法」を開発しており、これによって、多種多様な不純物を含むE-Scrapから、高品位の銅や貴金属(金、銀など)を効率的かつ環境負荷を低く回収できる。銅の製錬だけでなく、伸縮材や棒、板、条(銅を薄く延ばしてコイル状に巻いたもの)とする銅加工事業も手掛けており、動脈(製品製造)と静脈(リサイクル)の両方の事業領域を持つ。

 国内に複数の製錬所や家電リサイクル工場を所有/運営しており、中でも直島製錬所(香川県直島町)は銅製錬の主要拠点として機能している。

東西での安定的な受け入れ、処理、安定供給の体制
東西での安定的な受け入れ、処理、安定供給の体制[クリックで拡大] 出所:三菱マテリアル
リサイクル銅の活用 銅製錬から銅加工
リサイクル銅の活用 銅製錬から銅加工[クリックで拡大] 出所:三菱マテリアル
直島製錬所の事業
直島製錬所の事業[クリックで拡大] 出所:三菱マテリアル

古賀氏 一方、世界的な人口増加/消費拡大による銅の原料となる銅鉱石調達の過当競争や、資源の効率的/循環的な利用とストックの有効活用に伴いE-Scrapの重要性が増加している。


E-Scrapを取り巻く環境[クリックで拡大] 出所:三菱マテリアル

古賀氏 そこで当社は、「E-Scrapから効率よく金属資源を回収する技術」「リサイクル材料中の金属量を正確に把握する技術」「さまざまなリサイクル材料を原料として使用するための前処理技術」「リサイクル材料特有の元素を分離し、高い品質を維持する金属製錬技術」「 製錬した金属(銅)を顧客のニーズに合わせて加工する技術」を生かせると考え、PMPループの構築に参加した。

 さらに、金銀スライムから貴金属を製造する貴金属事業や製錬事業、リサイクル事業といった3つの事業を有しており、サプライチェーンにおける製品中の原材料などに関して、情報の透明性と追跡可能性(トレーサビリティー)を確保できる点も、PMPループ構築に生かせると考えた。

三菱マテリアルの強み
三菱マテリアルの強み[クリックで拡大] 出所:三菱マテリアル

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