電源の統合コスト低減を目的としたフレキシビリティ技術開発を採択:電動化
ホンダらは、NEDOの公募による「電源の統合コスト低減に向けた電力システムの柔軟性確保・最適化のための技術開発事業/研究開発項目1 DER等を活用したフレキシビリティ技術開発」に応募し、採択された。
ホンダらは2025年7月24日、NEDOの公募による技術開発事業「日本版コネクト&マネージ2.0」の研究開発項目1に応募し、採択されたと発表した。正式名称は「電源の統合コスト低減に向けた電力システムの柔軟性確保・最適化のための技術開発事業」で、事業期間は2025年7月1日から2027年3月末までを予定している。
今回、同事業に応募したのは、東京電力パワーグリッド、電力中央研究所、早稲田大学、エナリス、日立製作所、関西電力送配電、東京大学 生産技術研究所、中部電力パワーグリッド、東京電力エナジーパートナー、東京電力ホールディングス、ホンダの11者。
さらなる再生可能エネルギー(再エネ)の普及と主力電源化を目的に、2022年よりNEDOにて「電力系統の混雑緩和のための分散型エネルギーリソース制御技術開発(FLEX DERプロジェクト)」の取り組みが実施されている。
これまでのFLEX DERプロジェクトでは、大量に連系される再エネによる出力抑制量の低減と活用拡大を目的に、DERのフレキシビリティを用いた電力系統混雑の抑制技術の開発が進められてきた。
その一環として2024年5月と9月に栃木県那須塩原市で行われたDERフレキシビリティシステムの実証試験では、電気自動車や蓄電池などを使った配電用変電所の系統混雑緩和の実現可能性を確認できた。
本事業は2025年7月1日から開始された。これまでの開発経緯を踏まえ、FLEX DERで浮上した「DERの運用高度化」や「不応動時のセーフティーネット」の課題に対応する。栃木県那須塩原市でフィールド実証を継続し、系統混雑緩和の実装を目指す。
FLEX DERの検討においては、潮流の予測値には一定程度の誤差が含まれるため、予測誤差を考慮したDERフレキシビリティの運用方法を構築すること、DERフレキシビリティを実装化するには「DERの長期的な運用性の確保、低圧DERの活用、需要家ニーズと系統ニーズの両立(マルチユース)に向けた運用」などの技術開発が必要であること、などの残課題がある。
DERフレキシビリティ活用の一例として、太陽光発電の電力が配電系統を通じて変電所に流れる過程で、系統混雑が生じる可能性がある。このような場合、一般送配電事業者の指令室では、混雑を緩和するために必要なDERの制御(充電)量を算出する。DERフレキシビリティ活用プラットフォームは、一般送配電事業者から混雑緩和に必要なDER制御(充電)の連絡を受け取り、アグリゲーターに対して制御の依頼を行う。アグリゲーターはこの依頼を受け、系統用蓄電池などの実証サイトに対してDER制御(充電)の指令を出す。
DER集約配分機能に関しては、系統混雑緩和と需給バランスなどの維持を両立させるため、基幹系統とローカル系統が連携して運用できる機能を考え、その効果や実現性を検証するとともに、将来、フィールド実証を実施することを視野に入れ、実証試験に向けた設備、システム仕様の要件定義を行う。
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