建設用3Dプリンタで製造した防音壁 複雑曲面形状は独自プログラムで半自動生成:3Dプリンタニュース
日揮ホールディングスは、同社の海外EPC事業会社である日揮グローバルが建設用3Dプリンタを用いて製造した複雑曲面の防音壁が、国内プラント建設プロジェクトの現場に設置されたことを発表した。
日揮ホールディングスは2025年7月31日、同社の海外EPC事業会社である日揮グローバルが建設用3Dプリンタを用いて製造した複雑曲面の防音壁が、国内プラント建設プロジェクトの現場に設置されたことを発表した。
製造された防音壁は、長さ3.0mの壁を3枚接続した全長9.0mで構成されており、国内EPC事業会社である日揮が新潟県柏崎市で進めているブルー水素/アンモニア製造実証試験地上設備の建設現場内の一角に設置された。
防音壁の製造には、日揮グローバルが福島県に所有するCOBOD製ガントリー型建設用3Dプリンタが使用され、2週間で33個の部材に分割して製造された。建設現場では、一般的なプレキャスト製品と同様の据え付け方法により施工され、3日間で全ての設置作業が完了した。
複雑曲面を備えた防音壁の意匠には、敷地近隣の川や海をモチーフとした波型形状が取り入れられており、下部から上部に向かって波型から直線へと変化する形状が採用されている。また、近くの集水枡との干渉を避け、機能性と敷地内の景観調和の両立が図られている。防音壁の設計には、独自の設計プログラムが用いられ、複数案が半自動で生成されたという。
日揮グループでは、2018年12月に策定した「ITグランドプラン2030」において、「3Dプリンタ導入や建設自動化による建設工法最適化」を注力テーマの一つに掲げている。日揮グローバルはこれまで、国内のバイオマス専焼発電設備建設プロジェクトにおけるプラントの配管支持構造物(基礎型枠)や、サウジアラビアの原油/ガス分離設備建設プロジェクトにおける化学品保管庫外壁への3Dプリントの適用など、建設分野における3Dプリンタ技術の開発を推進してきた。
今後も日揮グローバルは、グループ内のプラント建設プロジェクトへの3Dプリンタの本格導入を積極的に推進し、建設工事の効率化および建設技能者の人材不足といった社会課題の解決に貢献していく方針である。
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