j5とAcceleratorKMSの連携機能を2026年にリリース 運転指示に合わせ手順書を自動表示:製造ITニュース
Hexagonは、石油/化学プラント向けの運転管理ソリューション「j5 Operations Management Solution(j5)」と運転手順書ソリューション「 AcceleratorKMS」の連携機能を2026年に国内で正式リリースすると発表した。
Hexagonは、「メンテナンス・レジリエンス TOKYO2025」(会期:2025年7月23〜25日/会場:東京ビッグサイト)の構成展の1つである「第51回プラントメンテナンスショー」に出展し、石油/化学プラント向けの運転管理ソリューション「j5 Operations Management Solution(j5)」と運転手順書ソリューション「 AcceleratorKMS」の連携機能を2026年に国内で正式リリースすると発表した。
国内では大手化学メーカーが概念実証中
j5は、運転員の作業プロセスデータや、プラントのエンジニアリングデータと運転データ、品質データなどを基に、データの構造化、統合、蓄積、業務プロセスやワークフロー、メトリクス/KPIの構築、業務の可視化などが行える。コア機能として、「運転指示」「運転ログ」「運転報告」「掲示板」といったアプリケーションを備えている。
「運転指示」は、運転現場への運転指示とその実施状況を管理するフレームワークで、運転部門で日常的に実施されるその場限りの作業や定期的な業務を効率的に計画し、これらの実行を後押しする。「運転ログ」は運転現場で発生する各種運転作業のデータを記録/分類し、時系列で管理できる。
「運転報告」は、運転現場のシフト間の申し送り業務を効率的に行えるようにするフレームワークだ。このフレームワークを活用することで、運転員は主要運転のデータや巡回点検結果などのデータを添付して申し送り事項の記録と共有が行える。「掲示板」は、運転現場における各種連絡事項を管理するためのフレームワークで、「掲示板情報作成」と「掲示確認」の機能により、情報伝達が可能だ。
さらに、巡回点検や運転手順書、トラブル報告、設備/機器の不具合管理、翌日工事予定、ヒヤリハットをシステム化するアプリケーションも搭載できる。
これまで現場で利用してきた申請書やレポートをj5上で使えるツール「j5 IndustraForm」とも連携可能だ。j5 IndustraFormは、既存の紙や帳票のフォーマットを維持したままデータの電子化と共有が行える他、データのカスタマイズにも応じる。加えて、スマートフォンやタブレット端末に「j5 Mobile」をインストールすることで、これらのデバイスを通して、j5 IndustraFormにアクセスできるようになる。
これらのアプリケーションやツールにより、工場全体の運転管理業務の統一やペーパーレス、運転データ(指示、記録、運転ノウハウなど)の一元管理、他システムとの連携による業務効率化が行える。
Hexagonの説明員は「j5は、日々の運転管理や申し送り事項の電子化に強みを持っている。2009年に日本での販売を開始し、長年の信頼関係構築と顧客課題に合わせたスモールスタート導入により、着実に実績を伸ばしてきた。現在は日本国内で100カ所以上の事業所に導入されている。申し送りや現場指示、作業報告までの一連のサイクルを電子化するソリューションは、2009年に国内に競合がなく、パイオニアとして定着した」と話す。
AcceleratorKMSは、業務知識と手順を高度に管理/共有できるナレッジマネジメントシステムで、標準作業手順書(SOP)や保守手順書、設備運転手順書(AOP)、ターンアラウンド手順書試運転試験手順書(CTP)、緊急手順、ユニット作業手順書(UOP)、チェックリスト、ポリシーの編集、管理、共有、閲覧などが行える。
主に、手順書やコンテンツを電子化する「コンポーネント・コンテンツ管理システム(CCMS)」、作業手順のオーサリングから現場までの使用まで各フェーズで管理できる「作業手順ライフサイクル管理(PLMS)」、重要なオペレーションに関連するコンテンツを現場の作業員に配信可能な「コネクテッドワーカー・プラットフォーム(CWP)」を備えている。
また、AI(人工知能)のサポートにより、画像やテキストなどを組み合わせた手順書を作成できるオーサリング機能と運転員からのフィードバック機能を搭載している。手順書の変更管理や承認フロー、改訂履歴の可視化にも応じる。マルチデバイス対応で、スマートフォンやタブレット端末でも使える。
Hexagonの説明員は「AcceleratorKMSは、現場オペレーターの作業手順を可視化し、ステップバイステップの手順書として提供することで、作業の標準化と安全性の向上を支援する。若手社員の教育にも有効で、ベテランのノウハウを効率的に継承できる」と述べた。
j5とAcceleratorKMSの連携機能は、運転指示と作業手順書をシームレスに結び付けることを実現し、作業の効率化と確実性を高められる。「j5の運転指示に対して、AcceleratorKMS内で該当する手順書を自動的に表示させることで、オペレーターは手順書を確認しながら安全に作業を進められる。また、手順書の進捗状況もj5上で一元管理できるため、全体の作業状況を把握しやすくなる」(Hexagonの説明員)。
この連携機能は、既に米国で運用が開始されている。国内では大手化学メーカーで概念実証(PoC)が進められている。なお、j5とAcceleratorKMSの連携にはAPIを活用するという。
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