プログラマブルロジックの誕生――CPLD前史:プログラマブルロジック本紀(1)(3/3 ページ)
FPGAに代表されるプログラマブルロジックICの歴史をたどる本連載。第1回は、プログラマブルロジックが誕生した1970年代の状況や、PLDのご先祖様となるPLAについて紹介する。【訂正あり】
PLDのご先祖様であるPLAの登場
それではPROMよりもう少し自由に使えるものはなかったのだろうか。そこで、最初に世の中に出て来たPLDとなるのがPLA(Programmable Logic Array)である。
1975年、英Signeticの82S100 FPLA(図3)と、Intersil IM5200 FPLA(図4)という2種類のPLAが世の中に登場した。82S100は16入力/8出力、IM5200は14入力/8出力のプログラマブルロジックである。

図5 IntersilのIM5200 FPLAのデータシート。ちょっと図版が見えにくくなっているが、上側がProgrammable AND array、下側がProgrammable OR arrayとなっている[クリックで拡大] 出所:Intersil
82S100の内部構造は図5に示す通りだ。IM5200も図4の左下に概略があるが、どちらも図3とよく似ている。
ただし、以下のように相違点も大きい。
- 上側のAND arrayがプログラマブルである
- AND arrayとOR array(図3におけるPROMのデコーダー部)をつなぐ部分は48個分しかない
そもそもPROMのAND arrayがFixedなのは、11ビット入力をフルにデコードできる(というかデコードできないとPROMにならない)から、そもそもプログラマブルである必要がない。PLAではデコードできるパターンは最大48に限られ(というか限るためにプログラムが必要である)、その結果を8ビットで出力できる形になっている。パッケージは82S100が600milの28端子DIP、IM5200が600milの24端子DIPであるが、どちらも5V単一電源で動作する。レイテンシは82S100が定格35ns/最大80ns、82S100が定格65ns/最大100nsとなっており、どちらもPROMに比べて圧倒的に高速である。
82S100とIM5200の内部構造は割と異なる(82S100はSigneticsのPROM技術を応用したもの、IM5200はIntersilのアバランチ誘起移動PROMプロセスを応用したもの)し、使い方も微妙に違うし、プログラミング環境も別だ。とはいえ、PROMを除くとこれら2社のPLAが、PLDのご先祖様ということになるだろう。
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