シリコン系放熱剤のリワーク残渣は「パテ」で掃除! 押し付けて剥がすだけ:TECHNO-FRONTIER 2025
富士高分子工業は、「TECHNO-FRONTIER 2025」で、開発品の「掃除用パテ」や、熱伝導性を持ちテラヘルツ(THz)電波の干渉を防ぐ「テラヘルツ波抑制TIM(GKS20525)」、熱伝導性を有す薄膜シート「超薄膜TIM」を披露した。
富士高分子工業は、「TECHNO-FRONTIER 2025」(会期:2025年7月23〜25日/会場:東京ビッグサイト)の構成展の1つである「第27回 熱設計・対策技術展」に出展し、開発品の「掃除用パテ」や、熱伝導性を持ちテラヘルツ(THz)電波の干渉を防ぐ「テラヘルツ波抑制TIM(GKS20525)」、熱伝導性を有す薄膜シート「超薄膜TIM」を披露した。
硬度は3種類を用意
掃除用パテは、シリコン系放熱材のリワーク時に残る残渣を除去できる専用ツールだ。リワークとは、一度実装されたシリコン系放熱剤を、基板や部品から剥がし、再利用または交換することを指す。
同ツールは、柔らかく凹凸に追従する他、シリコン系放熱材のみに吸着し他の部品にはくっつかず、リワーク時間を短縮する。使用手順は、まずシリコン系放熱材を除去したい部分に、同ツールを押し付ける。次に同ツールを剥がしてシリコン系放熱材を取り除く。
富士高分子工業の説明員は「ユーザーはこれまで、半導体にさまざまなシリコン系放熱材を取り付け評価する際に、その後の放熱材除去に困っていた。従来は、タオルやピンセットなどでシリコン系放熱材を取り除いており、手間がかかったり基板を傷つけたりするリスクがあった。そこで、当社は掃除用パテを開発した」と話す。
掃除用パテの種類は、可塑度59の「GKS20529(ハード)」や可塑度35の「GKS20530(ミドル)」、可塑度23の「GKS20351(ソフト)」の3種となる。「これらの違いは硬度で、ユーザーが好みの柔らかさを選べるようにしている」と語った。
テラヘルツ波抑制TIMは、厚さ2mmで0.3〜2THzにおいて電波吸収量が20dBの熱伝導材料だ。GKS20525の比重は1.4で、熱伝導率は1.5W/m・K、硬さはShore46、絶縁破壊電圧は8.6kV/mmとなる。「テラヘルツ波を抑制するTIMは、空港などに設置されているセキュリティ用のボディースキャナー機器の電波干渉を防ぐ目的で使用されている。現在はこのような特殊な用途しかないため、まだ市場は確立していない。今後は、通信機器などで高周波帯域の需要が高まることを見越して、テラヘルツ波抑制TIMを開発した」(富士高分子工業の説明員)。
超薄膜TIMは、厚さ80μmのシートで、比重は2.8、熱伝導率は1.5W/m・Kとなる。同シートは転写具に内蔵することで取り付けられる他、連続的な転写にも対応する。
いずれの製品も現在はサンプル提供中で、まだ正式には発売されていない。
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