国内初、土を主原料とするサステナブルでスマートな3Dプリンタ住宅が完成:3Dプリンタニュース(2/2 ページ)
Lib Workは、土を主原料とした3Dプリンタ住宅の第2弾「Lib Earth House model B」の完成を発表した。木造とのハイブリッド構造の住宅で、3Dプリント材料は天然素材のみでセメントを一切使用していない。延床面積約100m2規模の3Dプリンタ住宅は「国内初」(同社)だという。
建築用3Dプリンタによるオンサイト方式で現地施工
同社の3Dプリンタ住宅は、工場などで事前にパーツを造形して現地に搬入する方式ではなく、現地で建築を完結させるオンサイト方式を採用している。大型の建築用3Dプリンタを現場に持ち込み、材料の混練、押し出し、造形、養生といった一連の工程を全てその場で実施する。3DプリンタはイタリアのWASP(World's Advanced Saving Project)製の装置を使用しており、従来工法のように型枠などを用いることなく、効率的な施工が行える。また、人手では対応が難しい曲面形状や一体型家具の造形にも対応可能である。
壁の内部には各種センサーが埋設されており、温湿度をリアルタイムでモニタリングできるようになっている。さらに、エアコンや照明、風呂などの住宅設備は、スマートフォンや専用モニターによって遠隔操作が可能だ。太陽光発電パネルとテスラの家庭用蓄電池「PowerWall」を組み合わせたオフグリッドシステムも備えており、電力を自給自足するサーキュラーエコノミー型住宅として機能する。
model Bは、2025年8月から予約受付を開始し、2026年1月に受注開始を予定している。また、今後の3Dプリンタ住宅の需要拡大を見据え、同社独自の3Dプリンタ住宅技術を全国の住宅会社や施工会社へフランチャイズ方式で展開する構想や、グローバル展開への意向も示された。
その他、将来的なAI(人工知能)活用の可能性についても言及があった。瀬口氏は「例えば、『子どもが3人、リビングは広め』といった希望をAIに伝えるだけで自動設計し、そのまま3Dプリンタで施工まで行う“フルオートビルド”の実現を目指している。AIと3Dプリンタを掛け合わせた将来構想の実現に向けて、研究開発を進めている段階だ。今回完成したmodel Bはその第一歩といえる」と語った。
NFT化で新たな住まいの所有体験を提案
さらに、同社はmodel Bの発表に併せて、3Dプリンタ住宅のNFT(非代替性トークン)化構想も明らかにした。NFTとは、ブロックチェーン技術を用いて作成される代替不可能なデジタル資産であり、同社は設計図や住宅データをNFT化することで、新たな住まいの所有体験を提供しようとしている。
具体的な用途として、設計図の無断複製防止、真正性の証明、シリアルナンバリングによる資産価値の創出、メタバースへの転用、ビットコイン決済やグローバル取引などの可能性を挙げる。













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