ティアフォーがE2E自動運転アーキテクチャを独自設計、「Autoware」を通じて公開:自動運転技術
ティアフォーは、運転に必要な全ての判断をAIが行うE2E自動運転に適した独自アーキテクチャを設計し、自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」のリポジトリを通じてその実装を公開した。
ティアフォーは2025年7月16日、運転に必要な全ての判断をAI(人工知能)が行うE2E(エンドツーエンド)自動運転に適した独自アーキテクチャを設計し、同社が開発を主導する自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」のリポジトリを通じてその実装を公開したと発表した。
E2E自動運転は中国を中心に国際的に技術開発競争が激化している。ティアフォーは今回発表した独自アーキテクチャにより、未経験のシナリオに対しても人間の運転操作が不要な自動運転レベル4よりもさらに高度な自動運転レベル4+の実現を目指す。また、2026年春頃をめどに全国50カ所で展開する予定の自動運転移動サービスに同アーキテクチャを段階的に導入し、その有効性を実証する方針である。
今回開発したE2E自動運転のアーキテクチャは、周囲物体の動きの予測から自車の走行経路の生成に至る一連の処理に対して、拡散モデルに基づく機械学習を適用することで、障害物の回避や交差点での右左折など、複雑なシナリオにおいても規範的かつ人間らしい運転行動を模倣することが可能である。また、既存の自動運転のアーキテクチャであるルールベース型の設計と組み合わせることで、高い無人走行性能と解釈性/柔軟性の両立をでき、自動運転レベル4+の実現に向けた有力なアプローチと位置付けられるとしている。
さらに、既存のAutowareのコンポーネントやシミュレーション環境を活用することで、モデル学習の基礎となる大量の学習データを自動生成し、この合成データに実世界データを組み合わせることで、高性能なモデルを効率的に構築することに成功したという。
今後は、学習データのさらなる拡充とモデル性能の継続的な向上に取り組む。また、用途に応じて多種多様なAIモデルを段階的に導入し、旅客/物流用の商用車から自家用の乗用車まで幅広く対応可能なE2E自動運転アーキテクチャを構築していく方針である。
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