欧州サイバーセキュリティ規制に向け対応製品続々、フエニックス・コンタクト:産業オープンネット展2025
PHOENIX CONTACT(フエニックス・コンタクト)は「産業オープンネット展2025」において、セキュアなOTネットワークを構築する製品群を出展した。
PHOENIX CONTACT(フエニックス・コンタクト)は「産業オープンネット展2025」(2025年7月9日、東京都立産業貿易センター)において、セキュアなOTネットワークを構築する製品群を出展した。
全面適用が迫る欧州のCRA、違反した場合は高額の罰金も
欧州では、製品のライフサイクル全体にわたるサイバーセキュリティ対策を義務付けるサイバーレジリエンス法(CRA)が2024年10月に成立した。2026年9月から脆弱性、インシデント報告義務が開始され、2027年12月からCRAが全面的に適用される。要件に違反した場合は、最大で1500万ユーロ(約25億円)またはグローバル年間売上高の2.5%のいずれか高い方が罰金として科される。
フエニックス・コンタクトでは、7事業組織およびPSIRT(Product Security Incident Response Team)部門が、産業用オートメーションおよび制御システム向けのサイバーセキュリティに関する国際規格IEC 62443の中で企画、開発など製品のライフサイクルに関するIEC 62443-4-1を取得している。
今回、展示したセキュリティルーター「FL MGUARDシリーズ」はIACS(Industrial Automation and Control System)コンポーネントに関するセキュリティ要件を定めたIEC 62443-4-2(SL-C2)の認証を取得している。基本的なルーター、NATルーター、ファイアウォール、VPNの機能に加え、既設のネットワーク構成を変更することなくセキュリティを追加できるステルスモードなどの機能を提供する。
LinuxベースのPLC(Programmable Logic Controller)「PLCnext Control」も、IEC 62443-4-2(SL-C2)認証を取得している。ファイアウォールやネットワークのセグメンテーションへの対応の他、アクセスするユーザーを登録し、個々のユーザーに複数の役割を割り当てる機能などを持つ。その他、マネージドスイッチ「FL SWITCH 2000」もIEC 62443-4-2(SL-C2)認証を取得予定となっている。
近日中の開始を予定している、クラウドを介したセキュアな遠隔サポートサービス「mGuard Secure Cloud」も訴求した。VPN接続を使用して世界各地の機械や産業用PCに接続し、メンテナンス作業を実施できるようになり、中国との安定したVPN接続も可能という。利用形態はデータ量に基づく課金制で、2ユーザーの同時接続、1カ月当たり8GBまで無料となる見込みだ。
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