IoTのソラコムが生成AIと融合、リアルワールドAIプラットフォームへ:製造業IoT(2/2 ページ)
ソラコムは、生成AI時代における新たなビジョンとミッション、プラットフォーム戦略を発表した。プラットフォーム戦略では、現実世界の全てをAIにつなぎ、より良い未来を創造する「リアルワールドAIプラットフォーム」への進化を目指すという。
MCPサーバの提供でソラコムのプラットフォームが“AI Enabled”に
このリアルワールドAIプラットフォームへの進化に向けて、ソラコムのプラットフォームを“AI Enabled”、すなわち生成AIから使えるものに変えていく方針である。その施策の一つとなるのが、AIからソラコムのAPIをリモートで実行できるようにするMCP(Model Context Protocol)サーバの提供である。MCPはAIと外部システムを連携させるオープンプロトコルであり、2024年11月にAnthropicが発表してから急速に注目を集めている。「ソラコムはもともとAPIを完備しているので、MCPサーバの提供によって、MCPクライアント機能を持った生成AIからソラコムをコントロールできるようになる」(玉川氏)。
会見では、Anthropicの生成AI「Claude」を使って、ソラコムサービスの課金状況を基にグラフ作成とコスト分析を行い、さらにはコスト削減案を考えてもらうというデモを披露した。玉川氏は「ソラコムはあらゆるデバイスとIoTでつながっているので、それらのデバイスを生成AIで管理することも可能になる」と述べる。


MCPサーバの提供に加えて、「ChatGPT」などを展開するOpenAIが提供する「OpenAI API プラットフォーム」のエンタープライズ契約を締結したことも明らかにした。生成AIのフロントランナーであるOpenAIの技術をソラコムのプラットフォームにいち早く取り込む狙いがある。
また、2023年7月にテクノロジープレビューとしてリリースした「データ分析基盤サービス「SORACOM Query」の正式提供を2025年7月16日から開始する。SORACOM Queryは、SIMの状態や通信量、利用料金といったソラコムのプラットフォーム上に蓄積された通信管理情報、データ収集/蓄積サービス「SORACOM Harvest Data」に蓄積された時系列のIoTデータを検索/分析できる。今回の正式提供では、生成AIによって自然言語からSQLへの変換を実現する「Query アシスタント AI」機能が追加された。これにより、ソラコムのプラットフォーム上に蓄積されたさまざまなデータに対して、SQLベースでの自由なデータ照会が可能になる。これまで個別にデータをダウンロードしたり、クラウドに連携して加工/整形したりしていたデータ分析のための作業を、ソラコムのプラットフォーム上で直接クエリを実行することで、より効率的に実現できるようになるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
電源もWi-Fiもない場所にクラウド録画カメラ、工事不要で設置できる
ソラコムはクラウドカメラサービス「ソラカメ」に、電源やWi-Fi環境のない屋外でも設置できるカメラとその周辺機器の新商品を追加して発売する。フルMVNOの強者連合が誕生、丸紅とソラコムが通信事業の新会社を設立
丸紅と同社グループの丸紅I-DIGIOホールディングス、ソラコムの3社は2025年5月12日、東京都内で会見を開き、丸紅とソラコムのIoT領域における戦略的協業の一環として、ソラコムと丸紅I-DIGIOによる通信事業の新会社を設立すると発表した。生成AIでIoTアプリをローコード開発、ソラコムが無償提供
ソラコムは、生成AIを用いてIoTアプリケーションをローコードで開発できるツール「SORACOM Flux」の提供を始めると発表した。同社サービスのアカウントを持つユーザーが全て利用可能な無償のFreeプランから提供を開始する。ソラコムがコネクテッドカー推進団体のAECCに加入、IoT通信の専門知識生かす
ソラコムは、コネクテッドカー技術を検証、推進する業界横断型の非営利コンソーシアム「AECC」への加入を発表した。同社が有するIoT通信の専門知識を活用し、将来のコネクテッドカーのニーズを満たす、新技術や標準の確立を目指していく。ソラコムにとってIPOはスタートライン「孫の世代まで誇れる会社に」
ソラコムは2024年3月26日、東京証券取引所グロース市場に上場するとともに東京都内とオンラインで会見を開き、「スイングバイIPO」と定義する今回の新規上場の狙いについて説明した。シャープ傘下のAIoTクラウドが工場向け遠隔監視サービス、ソラコムと連携
AIoTクラウドは、IoT向け通信プラットフォームを展開するソラコムとの連携により、工場設備の巡回/点検業務を効率化する「WIZIoT遠隔監視サービス」を2024年2月1日から提供する。