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ソラコムにとってIPOはスタートライン「孫の世代まで誇れる会社に」製造業IoT(1/2 ページ)

ソラコムは2024年3月26日、東京証券取引所グロース市場に上場するとともに東京都内とオンラインで会見を開き、「スイングバイIPO」と定義する今回の新規上場の狙いについて説明した。

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 ソラコムは2024年3月26日、東京証券取引所グロース市場に上場するとともに東京都内とオンラインで会見を開き、「スイングバイIPO」と定義する今回の新規上場の狙いについて説明した。なお、1株当たり価格870円での売り出しに対して同日の終値は1563円を付けており良好な滑り出しとなっている。

ソラコム 代表取締役社長 CEOの玉川憲氏(左)とKDDI 代表取締役社長の高橋誠氏(右)
ソラコム 代表取締役社長 CEOの玉川憲氏(左)とKDDI 代表取締役社長の高橋誠氏(右)[クリックで拡大] 出所:ソラコム

 2014年11月に創業したソラコムは、2015年9月にIoT(モノのインターネット)プラットフォームである「SORACOM」の国内向けサービスの提供を開始した。その後北米、欧州など通信カバレッジをグローバルに拡大。2017年8月には、さらなる成長に向けた資金調達と経営の安定化を目指してKDDIの連結子会社となる一方で、2020年7月にはKDDIグループ傘下でIPO(新規株式公開)を行うスイングバイIPOを目指すことを発表していた。

 2022年12月にはそのスイングバイIPOに向けた東京証券取引所へ株式上場申請を行ったものの2023年2月には株式市場の動向などを総合的に勘案し上場申請を取り下げていた。今回の新規上場は、現在の経済環境や市場動向を踏まえてあらためて上場手続きを再開し、2023年11月20日に東京証券取引所へ株式上場申請を行った結果となる。

 なお、グロース市場では流通株式比率が25%以上という上場維持基準がある。このため、新規上場前は議決権ベースの所有割合が65.67%だったKDDIが市場への売り出しに参加している。現在のKDDIの議決権ベースの所有割合は44.43%となっており、ソラコムは子会社から持ち分法対象会社に変更されている。

 またソラコムは新規上場に伴って決算情報を開示しており、2023年度(2024年3月期)の連結業績予想は売上高が前年度比27.5%増の80億3100万円、営業利益が同6.4倍の6億5400万円、経常利益が同5.2倍の5億9200万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.1倍の4億3500万円。2万社を超える顧客が多岐にわたる業界や用途でソラコムの製品やサービスを採用しており、主要顧客の年間解約率も0.3%と低く継続利用されている。何より、営業利益はこれまで5年連続で黒字を記録しており、IPOを果たした他のスタートアップと比較しても経営状態が安定していることは特筆すべきだろう。

ソラコムの企業概要
ソラコムの企業概要。2023年度の連結売上高は約80億円、営業利益はIPOを果たしたスタートアップとしては破格の5年連続で黒字を記録している[クリックで拡大] 出所:ソラコム

 IoTやAI(人工知能)といったテクノロジーの民主化をミッションに掲げるソラコムの事業の基盤となっているのがIoTプラットフォームのSORACOMだ。グローバルで利用可能なIoT向けのデータ通信サービスを軸としつつ、IoTの製品開発を加速させることが可能な22のクラウドサービスを用意している。ユーザーはこれらの中から必要な機能を組み合わせればIoTを活用したサービスを構築できるようになる。

 ソラコムの収益構造は、自社やパートナーが提供するIoTデバイスと、通信サービスに基づくIoTコネクティビティ、IoTサービスの構築に活用されるクラウドの3つに分けられる。同社 代表取締役社長 CEOの玉川憲氏は「繰り返し購入することになるIoTデバイスはインクリメンタル収益、IoTコネクティビティとクラウドは毎月のサブスクリプションで支払っていただくリカーリング収益となっている」と語る。

ソラコムの収益構造
ソラコムの収益構造。インクリメンタル収益のIoTデバイス、リカーリング収益のIoTコネクティビティとクラウドから構成される[クリックで拡大] 出所:ソラコム

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