OKIが高崎に製造ライン分析ラボ開設 周辺半導体工場の外部委託に迅速対応:工場ニュース(2/2 ページ)
OKIエンジニアリングは、群馬県高崎市にあるOKIの西横手工場工場内に化学分析拠点「高崎ラボ」を開設し、半導体製造ライン向け化学分析サービスの提供を開始した。【訂正あり】
高崎ラボで提供するサービスとは?
高崎ラボでは、サービスとして「クリーンルーム空気分析」と「薬液不純物分析」を提供する。クリーンルーム分析では、サーモフィッシャーサイエンティフィック製の濃縮イオンクロマトグラフィ「Inuvion RFIC(マニュアル濃縮仕様)」を用いて、クリーンルーム内の空気中に含まれる微量ケミカル成分(イオン成分など)の濃度を測る。その結果をレポートでユーザーに提供する。
【訂正】初出時に、上の画像に記載の文章に誤りがございました。お詫びして訂正致します。(2025年7月8日10時30分)
Inuvion RFICは、水溶液中でイオンとして存在している物質を分離定量でき、水質分析などの環境測定や、工業、医薬品、食品の分野における品質検査で幅広く使われている。同装置は、1回の分析で複数の成分を同時に分析可能で、ppm(100万分の1)〜ppb(10億分の1)レベルのイオン成分の解析に対応し、濃縮機能により高感度解析が行える。
この装置は、試料の測定対象成分のみを濃縮し、電気伝導度検出器でイオン成分の定性/定量を実施する。同装置の注入部から入れられた試料は、溶離液によってカラムに運ばれる。イオンは種類によって、価数、半径、疎水性といった性質が違うためカラム内を移動する速度が異なる。そのため、カラムを通過する間にイオン成分が分離されていく。
Inuvion RFICの適用事例としては、大気中のイオン成分分析や工場排水中のフッ化物イオン分析、化学薬品中の不純物イオン分析がある。
薬液不純物分析では、アジレント・テクノロジー製の誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置「5800-OES」を活用して、半導体製造工程で使用する酸、アルカリ、有機溶剤などの薬品の不純物量を測る。その結果をレポートとして提供する。
5800-OESは、試料溶液を霧化し、プラズマ内で発光/イオンしたものを検出して、元素の定性/定量分析を行える。同装置は多元素を同時に分析できる他、化学干渉やイオン干渉が少なく、高マトリックス試料の分析にも応じる。低濃度〜高濃度までの幅広い濃度も分析できる。元素の大半で検出下限が10ppb以下と高感度だ。
5800-OESの適用事例としては、クリーンルーム内における雰囲気中不純物の定量分析や製品中の環境負荷物質分析、各種金属中の不純物の定量分析がある。
OEGでは、両サービスにより半導体工場における製造ラインの定期的なあるいは緊急時の分析に対応し、2025年度に5000万円の売上高を目指す。「半導体向けのサービス全体で2031年度以降に売上高15億円を目指す。内訳は、半導体部品の企画、設計、試作、認定、製造、アフターサポートをカバーした半導体部品向けのサービスが90%で、半導体製造ラインの品質を確保する高崎ラボの化学分析サービスが10%となる見通しだ。半導体部品向けのサービスは以前から提供しており、多様なサービスをラインアップしている」と語った。
今後もOEGは、新しい分析装置や前処理機器を導入し、分析体制の増強を進めていく。現状はプラズマでイオン化された元素を質量分析計で分離/検出して定量する誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)の導入を予定している。ICP-MSは、ppt(1兆分の1)〜ppbレベルの微量元素分析に対応しており、ICP発光分光分析装置より高感度だ。そのため、ICP発光分光分析装置では対処できない微量元素の分析に使用する目的で導入する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
OKIエンジニアリングが高分子材料の劣化評価サービスに熱老化試験と硬度測定を追加
OKIエンジニアリングは、高分子材料の劣化を化学的および物理的に評価する「高分子材料の劣化評価サービス」に熱老化試験と硬度測定を2024年6月12日に追加する。OKIエンジニアリングが計測試験装置の校正作業を代行するサービスをリリース
OKIエンジニアリングは、計測試験装置の校正作業を代行するサービスとして「計測試験装置メーカーとのタイアップ校正サービス」を2024年6月26日にリリースする。OKIエンジニアリング、CO2排出量ゼロの試験評価サービスを実現
OKIエンジニアリングは、全事業拠点の購入電力を、2023年度末に再生可能エネルギー由来の電力に切り替えた。これにより、受託した試験評価サービスで生じるCO2排出量がゼロとなった。電子部品の代替部品候補などワンストップで情報提供、製造業向け調査サービス開始
OKIエンジニアリングは、製品に搭載する全ての電子部品に関する代替部品候補やその付帯情報を提供する「電子部品供給性情報調査サービス」の提供を開始した。OKIエンジニアリングの注目材料評価サービス3選
MONOistに掲載した主要な記事を、読みやすいPDF形式の電子ブックレットに再編集した「エンジニア電子ブックレット」。今回は、OKIエンジニアリングが提供する注目の材料評価サービスを取り上げた3本の記事をお送りします。