データは可視化した後どう使う? AWSが示すAIエージェント活用:AWS Summit 2025
AWSジャパンは年次イベント「AWS Summit Japan 2025」において、AWSのサービスを活用したスマート製造のデモンストレーションを行った。
AWS(アマゾンウェブサービス)ジャパンは同社主催の年次イベント「AWS Summit Japan 2025」(2025年6月25〜26日、幕張メッセ)において、AWSのサービスを活用したスマート製造のデモンストレーションを行った。
AIエージェントが解決策を提案、部品の追加発注も
会場に置かれたのは、三菱電機の産業用ロボットを用いたe-Bike(電動自転車)の模擬塗装の工程だ。
設備のデータは、OPC UAサーバユニットを通じてプロトコルをOPC UAに転換。OPC UAサーバユニットとつながった産業用PC(IPC)にはAWS IoT Greengrassが組み込まれており、これによってAWSがクラウドで提供しているIoTプラットフォームの機能をエッジ側にオフロード(機能委譲、分散)できる。今回は、AWS IoT SiteWiseの機能が入れられており、OPC UAでデータの収集、保存、整理、モニタリングが可能になっている。
収集した設備のデータはAmazon Managed Grafanaを使ってリアルタイムに近い形でダッシュボード上で可視化している他、AWS IoT TwinMakerによってデジタルツイン環境を構築している。
デモンストレーションでは、意図的に設備トラブルを起こし、Agent for Amazon BedrockのAI(人工知能)エージェント機能を活用したトラブルシューティングを行った。
設備トラブルを知らせるアラートをダッシュボード上でクリックすると、AIエージェントは機器から得られたデータを元に、考えられるトラブルの想定原因と対処方法を画面に提案し、さらにデジタルツイン上にトラブル箇所をアノテーションした。
作業者が部品の交換などの対処を終えたことを入力すると、AIエージェントが交換した部品の在庫数を調べ、追加で発注するかを作業者に確認。発注を依頼すると、ERPと連携して部品発注まで行うというデモになっている。また、一連の作業記録もAIエージェントが残しており、同様のトラブルが発生した時に参照することも可能だ。
「AWSの既存のサービスを組み合わせることで、これまで人が行っていた製造設備のオペレーションにまつわる作業の一部を生成AIに置き換えることができるのではないか、という提案になっている。製造設備から集めたデータの可視化に取り組む企業は多いが、可視化した後にどのようにDX(デジタルトランスフォーメーション)につなげていけばいいかに悩まれているケースもある。その中で、それらのデータをAIエージェントが見られるようにすることで、データ活用の幅が広がっていく1つの例となっている」(AWSジャパンの説明員)
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