NTTコムが国内で初めて「IoT SAFE」を実証、ソニーのエッジAIカメラに適用:IoTセキュリティ(2/2 ページ)
NTTコミュニケーションズは、同社独自のアプレット領域分割技術を活用することで、GSMAが標準化したIoT向けのセキュリティ仕様である「IoT SAFE」をSIMカード内に組み込む実証実験に成功したと発表した。
ソニーグループもIoT SAFEの実証に参加
なお、今回のIoT SAFEの実証実験では、ソニーセミコンダクタソリューションズと同社傘下のミドクラジャパンが協力した。ソニーセミコンダクタソリューションズは、エッジAI(人工知能)センシングプラットフォーム「AITRIOS(アイトリオス)」の普及拡大をOSS(オープンソースソフトウェア)を活用して推進する方針を打ち出しており、ミドクラジャパンはそのOSS活動のけん引役となっている。
ミドクラジャパン Tech Alliance Managerの清水健司氏は「以前からNTTコミュニケーションズとは情報交換を行ってきたが、今回のIoT SAFEの実証実験は、技術者が常駐しない現場でもAITRIOSのようなエッジAIデバイスを安全かつ簡便に接続できることから大きな意義があると考え協力させてもらった」と説明する。
会見では、「Raspberry Pi 4」「Raspberry Pi AI Camera」「Edge Applicaion SDK for AITRIOS」などで構成するエッジAIカメラシステムを用いたIoT SAFEのデモンストレーションを披露した。同システムにIoT SAFE対応のSIMカードを組み込んだUSBドングルを差し込むと、SIMカード内で鍵が生成された後、IoT SAFEサーバで証明書が発行され、SIMカード内に格納される。その後、SIM内のカギと証明書を用いてOpenVPNサーバとセキュアな通信を行い、エッジでAI処理したカメラ映像(カメラで撮影したりんごの映像に物体認識の結果をオーバーレイしたもの)をセキュアに確認できるという内容だ。
実証実験の成果を受けてNTTコミュニケーションズは、今後IoT SAFEを試せる環境を準備し、技術検証やユースケース創出を行うパートナー企業を募集する方針だ。無料で入会できる「IoT Partner Program」から参加可能だ。パートナーとの実証を経て、2025年度中にIoT SAFEを活用したモバイル通信サービスの提供を目指す。
また、IoT機器向けに新たに標準化された遠隔でのSIMプロファイル切り替えのための仕様である「SGP.32」とIoT SAFEの組み合わせ動作の確認も進めている。将来的には、SGP.32とIoT SAFEを併せて試せるトライアルサービスも提供したい考えだ。
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