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不用なコットン生地からシルクのような再生セルロース繊維を開発:材料技術
香港繊維アパレル研究開発センターとセイコーエプソンは、新たな生産プロセスを用いて、不要なコットン生地からシルクのような輝きを持つ再生セルロース繊維の生成に成功した。
香港繊維アパレル研究開発センター(HKRITA)とセイコーエプソンは2025年5月29日、新たな生産プロセスを用いて、不要なコットン生地からシルクのような輝きを持つ再生セルロース繊維の開発に成功したと発表した。
この生産プロセスは、エプソンのドライファイバーテクノロジーによる解繊技術と、HKRITAの繊維溶解技術を組み合わせて開発。不要なコットン生地を綿状にほぐし、ほぐしたものを溶媒に溶かして、凝固液の中でノズルから絞り出して固化することで繊維を紡糸する。
同手法で作られた再生セルロース繊維は、シルクのように滑らかな光沢を持ちながら、コットン由来の強さも備える。短繊維から再生繊維を生成することも可能で、衣類の再生率の向上も期待できる。今後、スカーフ、ネクタイ、スーツの裏地など向けの高級素材として利用できると見込んでいる。
近年、環境への配慮が世界的に高まり、特に欧州では、不要になった衣類から再生繊維を使用する比率を引き上げ、衣料の廃棄を減らす動きが加速している。こうした背景から、HKRITAとエプソンは2024年1月に共同開発に関する契約を結び、再生繊維関連の開発に乗り出している。
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