新型の乾式オフィス製紙機で紙資源循環に関する実証実験をスタート:リサイクルニュース
セイコーエプソンは2024年10月4日から、群馬県太田市と共同で、乾式オフィス製紙機「PaperLab」の新型を活用し自治体全体で取り組むことができる紙資源循環に関する実証実験を開始している。
セイコーエプソン(以下、エプソン)は2024年10月3日、群馬県太田市(以下、太田市)と同月4日から、乾式オフィス製紙機「PaperLab」の新型(本体と紙源プロセッサが別体となったモデル)を活用し自治体全体で取り組むことができる紙資源循環に関する実証実験を開始すると発表した。この取り組みを行う自治体は太田市が初となる。
本体のない場所でも機密文書を細断可能な利点を生かす
PaperLabは、エプソンが2016年に発売した乾式オフィス製紙機で、使用済みの紙を原料として、新たな紙を生産できる。特徴は、機器内の湿度を保つために少量の水を使用するが、紙のリサイクルでは利用しない点だ。
これまでPaperLabは多くの紙を扱う自治体などに導入され、オフィス内などでの紙資源循環活動を通して、持続可能な社会の実現に貢献している。その一方で、現行のPaperLabは本体設置場所での紙の廃棄/再生を前提としているため、複数拠点から使用済みの紙を回収し再生する場合は、本体設置場所まで機密文書の輸送が必要で、機密性の担保が難しいという課題があった。
この課題に対応するため、エプソンは新型のPaperLabを開発した。新型PaperLabは、本体のない場所でも紙源プロセッサにより、機密文書を内容が判読できなくなるレベルまで細断でき、そのまま本体へ投入し再生させることができる。
これにより紙を再生させたい全ての拠点で本体を持たなくとも、紙源プロセッサを活用することで、自治体は地域全体で紙資源循環に取り組むことができ、環境貢献の輪を広げることが可能となる。
エプソンは、太田市との実証実験を通して「古紙の回収、再生紙の生産、再生紙の配布/活用」を実現する流通/運用スキームの検証、ならびに環境効果の見える化ソリューションの有効性を検証する。
太田市との実証実験の概要
今回の実証実験では、自治体を中心とした、地域全体で紙循環を実現するスキームの構築を目的に、新型PaperLabの本体を太田市リサイクルプラザに、紙源プロセッサを太田市役所、太田市尾島庁舎、太田市立沢野小学校、太田市リサイクルプラザに設置する。これらを活用し、地域全体における古紙の回収、再生紙の生産、再生紙の配布/活用を実現するスキームの有効性や地域全体での紙循環活動による住民の環境意識の変化を検証する。
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