国内新車生産は3社が2桁パーセント増、前年同期からの反動増で:自動車メーカー生産動向(3/3 ページ)
2025年4月の日系自動車メーカーの生産は、メーカー各社によって明暗が分かれた。トヨタ自動車やダイハツ工業が2024年の認証不正問題の反動などで大幅にプラスとなった一方で、中国での販売低迷などによりホンダや日産自動車の生産が大きく減少した。
マツダ
マツダの4月のグローバル生産台数は、前年同月比7.5%減の9万4752台と3カ月連続で減少した。要因は主力の国内生産が同12.6%減の5万5161台と3カ月連続で前年実績を下回った。「CX-5」は同16.8%増と増加したものの、前年が新型車効果で高水準だった北米向け「CX-90」が同27.2%減、販売が伸び悩む「マツダ3」も同14.6%減と低迷した。輸出も北米や欧州向けが減少し、同29.0%減と大きく落ち込んだ。なおマツダは、4月の減産は当初の計画通りで「関税対策として生産調整はしていない」(広報部)とする。
海外生産は、前年同月比0.8%増の3万9591台とわずかながら増え、4カ月連続で前年実績を上回った。このうち北米は、米国向け「CX-50」の販売が好調な米国は同11.5%増と伸長した一方、メキシコはマツダ3の減少で同1.9%減と4カ月ぶりにマイナスへ転じた。タイは「マツダ2」や「CX-3」の輸出が減少したこともあり、同47.3%減と半減し2カ月ぶりのマイナスだった。ただ、中国は新型EV「EZ-6」の純増により同28.0%増と大幅プラスで、10カ月ぶりに前年実績を上回った。
スバル
スバルの4月のグローバル生産は、前年同月比7.7%増の8万427台と2カ月ぶりのプラスだった。中でも国内生産は、同21.2%増の5万707台と3カ月連続の前年越え。前年が北米向け新型「フォレスター」の生産切り替えで減産していたことに加えて、ストロングハイブリッドシステムを搭載するフォレスターの立ち上げで増産したことが台数を押し上げた。これに伴い輸出も同32.9%増と3カ月連続で増加した。
一方、唯一の海外生産拠点である米国生産は、前年同月比9.5%減の2万9720台と6カ月連続で減少した。前年が半導体不足の挽回生産で高水準だったほか、サプライヤーから一部の部品で納入遅れが発生していることが響いた。
三菱自動車
三菱自の4月のグローバル生産台数は、前年同月比1.2%増の6万4343台と増加に転じた。前年実績を上回るのは15カ月ぶり。ただ、依然として海外生産の不調は続いており、8社の順位でも最下位となった。海外生産は、同9.0%減の2万6843台と6カ月連続で減少した。
主要地域である東南アジアは、最大拠点を構えるタイが経済低迷やローン審査の厳格化などで市況が厳しく、前年同月比26.8%減と大幅に減少。「ミラージュ」の生産を終了したのも響いた。一方、インドネシアは輸出向け「エクスパンダー」の増産などもあり同26.1%増と好調だった。それでもアジアトータルでは同10.0%減という状況で、回復の兆しが見えていない。
プラス転換に貢献したのが国内生産で、前年同月比10.0%増の3万7500台と2カ月連続で増加した。前年に投入した「デリカミニ」が一巡して2桁パーセント減となったほか、日産向けOEM(相手先ブランドによる生産)供給するEV「サクラ」や「デイズ」などが軒並み低迷。サクラの4月販売は発売後の月間販売台数で過去最低となった。ただ、国内市場向けの「デリカD:5」が大きく伸長し、国内生産を押し上げた。輸出はオセアニアや中東向けが減少し、同18.7%減と2カ月連続のマイナスだった。
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