国内のバイオプラスチック販売量、2030年に8万1015tに拡大:製造マネジメントニュース
矢野経済研究所は、国内外のバイオプラスチック市場に関する調査結果を発表した。国内のバイオプラスチック販売量は、2021年の4万2000トン(t)から、2030年には8万1015tに伸びると予測している。
矢野経済研究所は2025年5月29日、国内外のバイオプラスチック市場に関する調査結果を発表した。バイオベースプラスチックと生分解性プラスチックを対象に、原料別、樹脂別、ユーザー企業別の動向、将来展望を分析した。
調査によると、国内におけるバイオプラスチック販売量は、2021年の4万2000トン(t)から、2030年には8万1015tに伸びると予測している。バイオベースプラスチックはレジ袋や容器包装、生分解性プラスチックは農業用資材やカトラリーなどの使い捨てプラスチックを中心に使用されている。なお、バイオPE(バイオポリエチレン)やPLA(ポリ乳酸)は欧米からの輸入が多く、海外に依存している状況だ。
国土交通省は、植物由来材料や廃食油などの再生可能な資源および廃棄物を原料とした航空燃料のSAF(Sustainable Aviation Fuel)について導入の義務化を検討している。そのため2025年以降、大手石油精製メーカーがSAF製造プラントの稼働を予定している。
SAF製造時にはバイオマスナフサが副産物として生産され、バイオマスナフサ由来のバイオプラスチックが市場の成長に寄与すると期待される。バイオマスナフサの生産量は、2030年までに最大12万6000tになる見込みだ。
また、近年では、化石燃料由来の原料に依存しないCO2を原料とした化学品の製造も活発化している。
湿度が高く、国土面積が狭い日本では、生分解性プラスチックの堆肥化用設備の設置が困難で、欧米のような生分解性プラスチックへの移行はリスクを伴うと考えられる。同社は、生分解性プラスチックのみならず、リサイクルが可能なバイオマスナフサ由来やCO2由来のバイオプラスチックの導入が市場拡大につながると分析している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
国内のプラスチックリサイクル市場、2023年の再生樹脂需要量は51万5000t
矢野経済研究所は、国内のプラスチックリサイクル市場に関する調査結果を発表した。需要量や回収状況などを分析し、2023年の国内における再生樹脂需要量を51万5000tと推計している。2023年の国内プラスチックリサイクル量は690万t、ほぼ横ばいに推移
矢野経済研究所は、プラスチックリサイクル市場に関する調査結果を発表した。2023年の国内プラスチックリサイクル量を690万tと見込み、今後、ほぼ横ばいに推移すると予測している。2023年の国内PP市場は前年比3.4%増の225万8500tへ
矢野経済研究所は、国内ポリプロピレン市場に関する調査の結果をまとめたレポート発表した。2023年のポリプロピレン出荷量は前年比3.4%増を見込む。2022年の高機能フィルム出荷数量は前年比30%減少、2025年に回復見込み
矢野経済研究所は、高機能フィルム市場に関する調査の結果をまとめたレポートを発表した。2022年の高機能フィルム出荷数量は、前年比20〜30%減となった。国内ポリプロピレン市場、2021年は復調鮮明の自動車向け需要がけん引
矢野経済研究所は、日本国内におけるポリプロピレン(PP)市場に関する調査を実施し、樹脂別、需要分野別の動向や参入企業の動き、将来展望を明らかにした。2021年の国内PP市場規模は、復調鮮明の自動車向け需要がけん引役となり、2019年水準近くまで回復する見通しだという。