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日本の製造業のDXは、大企業ではボトムアップ、中小企業ではトップダウンで進む:ものづくり白書2025を読み解く(1)(3/3 ページ)
日本のモノづくりの現状を示す「2025年版ものづくり白書」が2025年5月30日に公開された。本連載では「2025年版ものづくり白書」の内容からDXや持続的な競争力などについてのポイントを抜粋して紹介する。
DX人材の不足が顕著、社内育成で間に合わせる傾向
デジタル技術の導入に向けた人材確保の取り組みは「社内人材の活用、育成」が58.6%と圧倒的多数となった。その他の回答は、「新たに採用」が12.2%、「ベンダーなどへの外部委託」が7.6%、「ベンダーなどからの出向者などの活用」が1.7%と、いずれも非常に低い。さらに「人材は確保していない」が26.1%もあり、現実的にDX人材が十分に確保されていない中で何とかやりくりしている状況が浮き彫りになっている。
社内人材の育成方法は「現場での作業の実践を通じて(OJT)」が54.3%と最多となった。次いで「会社の指示による社外機関での研修や講習会への参加」が50.6%、「社内での研修やセミナーの実施」が33.2%、「社内での自主的な勉強会などの奨励」が27.0%となっている。
デジタル技術の浸透に「ビジョンや目標を共有」
デジタル技術の活用を定着させるために取り組んでいることは、「ビジョン、目標の社内での共有」が34.7%で最も多くなった。次いで「デジタル技術の活用方法についてのマニュアル作成」(25.1%)、「デジタル技術の活用に向けた社員研修」(24.4%)、「設定した評価指標の達成状況の共有」(23.5%)が続いている。一方で「特に何もしていない」とした回答も21.6%あり、一定比率を占めている。
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