AIロボットが大きさや重さを考えて荷積み、川崎重工は8軸アーム開発:産業用ロボット
川崎重工は、AIロボティクスソフトウェアを開発するDexterityと共同で、トラックへの荷積みを自動化するAIバンニングロボット「Mech」を開発した。川崎重工が開発担当を務めたロボットアームは、1台当たりの最大可搬質量が30kgとなる。
川崎重工は2025年5月8日、AIロボティクスソフトウェアを開発するDexterityと戦略的提携を結び、トラックへの荷積みを自動化するAIバンニングロボット「Mech」を共同開発したと発表した。川崎重工は、ロボットアームの開発担当を務めた。
Mechは、物流施設でトラックへ荷積みする作業を自動化するAIロボットだ。施設内を自走して、ロボットアーム2本を使って荷を積む。川崎重工が開発したロボットアームは、トラックの狭い荷室内で動作の範囲を最大化して自由度を高くするため、一般的には6軸の産業用ロボットアームの軸数を8軸へと増やした。トラックへの荷積み作業に必要な強度を維持しながら、軽量かつスリム化を図っている。
アーム1台当たりの最大可搬質量は30kg。DexterityのAI技術を使い、荷物の大きさや重さを考慮しながら、適切な位置へ荷積みできる。荷物の大きさを認識して、異なる大きさの荷物を組み合わせ、荷室の隅まで活用する。配送中の荷崩れを防ぐため、荷物ごとの重量を踏まえ、荷重を分散させて積み込む機能も備えている。
物流分野では、ECの拡大に伴って流通物量が増加し、慢性的な労働力不足に陥っている。Mechを導入することで、荷積み作業に従事するトラックドライバーや作業者の負担を軽減し、物流施設の省人化を図る考えだ。既に、国際的な物流企業の施設において、現場導入に向けた実証実験を実施している。
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