構造改革の中、パナソニックHDがR&Dで注力する領域と凍結する領域の考え方:製造マネジメント インタビュー(2/2 ページ)
パナソニック ホールディングス グループCTOである小川立夫氏が報道陣の合同取材に応じ、研究開発(R&D)領域における2024年度の成果を紹介するとともに、構造改革を踏まえた技術開発部門としての考え方を説明した。
技術開発部門にも技術テーマの取捨選択など構造改革を要求
一方で、パナソニックHDでは2025年5月9日にグループ経営改革として、事業撤退や縮小、拠点の統廃合なども含め、グローバルで1万人の人員削減を行う方針を示した。その中には、本社本部改革として「技術開発テーマの選択と集中」が挙がっており、R&Dとしても研究開発プロジェクトの取捨選択が求められる状況となっている。
小川氏は「基本的な考え方として、技術未来ビジョンで示した方向性は変わらない。ただ、その中での進め方は変えるべきものは変えていく。本社部門全体の予算規模が縮小する中で、それに合わせた形で各プロジェクトの見直しは進めていく。技術開発は、必ず実施すべきものから、可能なら取り組みたいものまで、さまざまなプロジェクトが混在しているが、一部でやめてどうなるかを検討したり、事業会社の研究開発部門に渡すことを検討したりしている」と説明する。
取捨選択する技術テーマについては「具体的なテーマを挙げることはできない」(小川氏)としているが「ウェルビーイングの領域では、CES2025でAI関連売り上げを2035年度までに30%に引き上げる目標を発表したこともあり、これに関連する『Panasonic Go』を実際に稼働させていくところに、一丁目一番地として取り組むことになるだろう。ウェルビーイングとPanasonic Goの共通部分が最優先での研究開発課題となる」と小川氏は説明する。
サステナビリティについては「長期環境ビジョンである『Panasonic GREEN IMPACT』の実現に関わる部分はまず優先度高く取り組んでいく」と小川氏は説明する。
研究開発を完全に止めることで、分野によっては継続性が失われる危険性もあるが、「凍結するものも出てくると考えている。その他、継続するが、予算規模は縮小するもの、維持するもの、逆に注力しなければならないので規模を増やすものなども出てくる。そのバランスを検討していく」と小川氏は考えを示した。
どのくらいの規模で縮小を進めるかについては「数値を開示することはできないが、本社部門として削減しなければならない数値と同等の比率で基礎研究費も下げることになる」(小川氏)としている。パナソニックHDでは構造改革後の新しい体制をバーチャルカンパニーも含めて2026年1月に示す予定としているが、小川氏は「その時期にはR&Dとしても方向性を明確にし、遅くとも2026年4月には新体制での活動を始めたい」と小川氏は見通しを示している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
次世代の「水道哲学」に挑戦、パナソニックHDが技術未来ビジョンを発表
パナソニック ホールディングスは、約10年ぶりに長期の技術開発の方向性を定めた「技術未来ビジョン」を発表した。環境を切り口に“売った後に価値が上がるモノづくり”に挑戦するパナソニックHD
2022年に環境コンセプト「Panasonic GREEN IMPACT」を発表し着実にアクションをとり続けているのがパナソニックグループだ。同社グループの環境問題についての考え方や取り組みについて、パナソニック ホールディングスのグループCTOである小川立夫氏に話を聞いた。パナソニックHD楠見CEOが語るグループ経営改革と1万人削減の真意
パナソニック ホールディングス グループCEOの楠見雄規氏は報道陣の合同取材に応じ、グループ経営改革の内容や思いについて説明した。パナソニックHDは構造改革で国内外1万人削減、関税影響は米国生産で780億円に抑制
パナソニックHDは、2025年3月期(2024年度)の連結業績を発表するとともに、グループ経営改革の進捗状況について説明した。事業撤退や縮小、拠点の統廃合なども含め、グローバルで1万人の人員削減を行い、2026年度までに1500億円の構造改革効果を実現する。AIで勝つ企業へ、パナソニックグループは2035年までにAI関連売上30%を宣言
パナソニック ホールディングス グループCEOの楠見雄規氏が、「CES 2025」のオープニングキーノートに登壇した。本稿では、このオープニングキーノートとパナソニックブースの展示内容を前後編に分けて紹介する。「AI関連売上30%という目標は保守的だとも感じている」パナソニックHD楠見CEO
パナソニック ホールディングス 代表取締役 社長執行役員 グループCEOの楠見雄規氏がCES 2025会場でMONOistなど報道陣の合同取材に応じ、「Panasonic Go」などAI関連での取り組みについて考えを述べた。パナソニックグループがサステナビリティを重視する理由、250年計画のカギに
パナソニック ホールディングス グループCEOの楠見雄規氏が、「CES 2025」のオープニングキーノートに登壇した。本稿では、このオープニングキーノートとパナソニックブースの展示内容を前後編に分けて紹介。後編では環境についての取り組みを紹介する。