投資を抑制してきたシャープのブランド事業、今後は2倍以上の資金を投入:製造マネジメントニュース(4/4 ページ)
シャープは2024年度の決算を発表した。売上高は前年度比7.0%減の2兆1601億円、営業損益は273億円の黒字、当期純損益は360億円の黒字となった。
これまでは投資のうち6割がデバイス事業向けで、ブランド事業への投資が抑制されてきたが、アセットライト化によりブランド事業への投資を増やす体制ができつつある。ブランド事業への投資はこれまでの2倍以上に比率を増やす。ASEANや米州で工場の生産能力を増強する他、ソフトウェアやM&Aにも積極的に投資する。
2つのビジネスグループは、それぞれのビジネスグループ長がCOOとして統括する。経営体制は、CEO、CFO、CTO、新規販路開拓を担当するCBDO、DXを推進するCDOが中心となる。
エッジAIとクラウドAIを組み合わせてユーザーを理解
持続的な成長基盤の構築に向けては、全社横断プロジェクトの推進やAI専門の研究開発組織の立ち上げに加えて、国内外の大学や研究機関、スタートアップとの連携を強化する。ブランド事業の2グループでの新たな事業展開につなげ、モビリティや宇宙など新産業にも挑戦していく。鴻海精密工業のリソースを活用しながら、AIデータセンター、建設現場やインフラ検査など向けのDXも拡大する。
技術面ではエッジAIや通信、画像解析、エネルギー、マイクロフォトニクスなど特長となる領域を深化させるとともに、将来技術の探索やイノベーションの創出を目指す。
重点領域は独自のAI技術「CE-LLM」だ。応答性や安全性が強みのエッジAIと、思考力や汎用性を持つクラウドAIを用途に合わせて切り替えながら使う技術だとしている。シャープ製品が蓄積した過去の情報と、機器の状態など現在の情報を組み合わせ、ユーザーの習慣や傾向などを学習し理解していく。エッジAIの性能向上やLLMの小型化が進めば、より多くの処理がエッジ側で完結できるようになり、さまざまなユーザーに寄り添った価値提供が可能になるとしている。
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