B to B用リサイクルPET樹脂の国内供給能力、2024年は37万3000tの見込み:研究開発の最前線
矢野経済研究所は、2024年の国内市場におけるPETボトルのリサイクルに関する調査結果を発表した。環境対応素材関連の国内メーカーを対象に、国内供給能力や市場の動向、将来展望を分析した。
矢野経済研究所は2025年4月16日、2024年の国内市場におけるPETボトルのリサイクルに関する調査結果を発表した。Bottle to Bottle(B to B)用リサイクルPET樹脂(rPET)の供給能力は、同年12月末時点で年間37万3000トン(t)となる見込みだ。
調査は、同年2〜12月に環境対応素材関連の国内メーカーを対象として実施した。使用済みボトルを原料として新たなPETボトルを製造するB to B用rPETの国内供給能力は、2023年12月末時点で年間34万8000tを達成。2024年12月末時点では年間37万3000tになると見込まれており、2025年以降は44万5000tに拡大すると予測する。
その背景には、2024〜2025年に予定される、再資源化事業者やリサイクル樹脂メーカーなどの新規リサイクラーの参入がある。清涼飲料業界は、2030年までにPETボトルのB to B化率50%を目指す「2030年ボトルtoボトル比率50%宣言」を打ち出しているが、建設中または量産準備中の設備が含まれることで、目標達成に向けたrPETの供給能力には余裕があるように見られる。
一方で、使用済みPETボトルから再生した樹脂を飲料容器材料として使用するには、厳しい安全、衛生基準に加え、異物などによる着色など、飲料メーカーが求める外観品質基準も満たす必要がある。成形やリサイクル時にかかる熱によって低下したPET樹脂のIV値(粘性)を、ブロー成型可能な状態に戻すための再重合設備や技術も不可欠だ。
そのため2025年以降に新たにrPET市場に参入する事業者は、一定レベルの品質をクリアするために、稼働開始後しばらくは時間を要すると考えられる。よって、合計生産能力がフルに発揮されるのは、2027〜2028年頃になる見通しだとする。
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