アマダは2025年4月17日、基板穴あけ加工機メーカーのビアメカニクスを買収すると発表した。ビアメカニクスの全株式を取得する株式譲渡契約を結び、完全子会社にする。取得価格は510億円で、株式譲渡は同年7月を予定している。
高性能半導体を搭載するハイエンド基板向けの装置を展開
アマダはレーザ技術による新領域拡大を長期成長戦略の最も重要な活動の1つに位置付けており、高い成長率が見込めるEV(電気自動車)などのe-Mobility、半導体、医療といった新分野への拡大、進出を目指している。
その中でも半導体は、スマートデバイス製品の小型化、高機能化や、データセンター向けの需要急増に伴い、製造工程において急速な微細化、短納期化が求められている。これらの要求に応えるため、さまざまなレーザ加工に注目が集まり、アマダが保有するレーザー技術の可能性や、その技術を活用したM&Aによる事業拡大を模索していた。
ビアメカニクスは1968年に日立製作所の工作機部門が分離独立して設立された。近年は、高性能な半導体を搭載するハイエンド基板向けに基板穴あけ加工機を提供している。これらのハイエンド基板は、スマートデバイスや生成AI(人工知能)向けの半導体などで採用されており、回路を微細化するために導通穴の増加と小径化、基板の多層化、材料の多様化など、大容量の情報を高速かつ低消費電力で処理するために最先端の技術が求められている。
ビアメカニクスは、基板への貫通穴加工には、超高速スピンドルと高速高精度テーブルサーボ技術を搭載したドリル穴あけ機、基板積層工程の止まり穴加工には、高速高精度ガルバノ技術を搭載したレーザ穴あけ機(CO2レーザ加工機、UVレーザ加工機)を展開している。
アマダは「当社のレーザ技術などのコア技術や自動化装置、グローバル生産供給体制およびIoT(モノのインターネット)によるサービスサポート体制と、ビアメカニクスのレーザによる穴あけ加工技術や、製造装置を高速、高精度化する技術は、親和性が非常に高いと考えている」としている。また、ビアメカニクスのユーザーには、アマダが持つ微細溶接事業のレーザ加工システムによるウエハーへのマーキングや樹脂モールドのバリ取りなど、半導体製造の後工程装置向けの提案によって高いシナジーが見込めるという。
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