先端半導体に超高多層プリント配線板が必要な理由とは:進化するOTCのモノづくり(1/2 ページ)
OKIサーキットテクノロジーが上越事業所に新設したプリント配線板の製造ラインが本格稼働した。現地で設備増強の背景を聞いた。
OKIグループでプリント配線板の設計、製造などを手掛ける、OKIサーキットテクノロジーは2024年7月、上越事業所(新潟県上越市)に新設したプリント配線板の製造ラインが本格稼働した。高機能化する半導体の検査用プリント配線板に対応する。現地にて設備増強の背景を聞いた。
半導体とともに検査に使われるプリント配線板も進化
OKIサーキットテクノロジーの起源の一つとなるのが、田中貴金属工業とパイロットインキの合弁会社として1970年に設立されたパイロットケミカルだ。その後、2012年に田中貴金属からOKIに事業譲渡され、田中OKIサーキット、2014年にOKIサーキットテクノロジーに社名変更。2018年には日本アビオニクスからプリント配線板事業が事業譲渡された。
また、OKIとしても1965年にプリント配線板の製造を開始しており、1985年に新潟沖電気を設立した。1993年にOKIプリンテッドサーキットに社名を変更し、2021年にOKIサーキットテクノロジーと、OKIプリンテッドサーキットが経営統合して、新たにOKIサーキットテクノロジーとしてスタートした。
設備増強を行った上越事業所がある上越テクノセンターは、もともと三菱化成工業(現三菱ケミカル)のアルミ精錬工場だったが、事業撤退後の建屋に当時の新潟沖電気をはじめ企業が多数進出し、現在は工業団地として活用されている。
OKIサーキットテクノロジーは鶴岡事業所(山形県鶴岡市)が航空宇宙防衛向けのプリント配線板を手掛けているのに対して、上越事業所では半導体検査用の超高多層プリント配線板を生産している。特に半導体分野は同社の売上高の約3分の1に当たる約70億円を売り上げる中心事業だ(2022年実績)。
半導体は高機能化、小型化、低消費電力化、大容量化が進んでいる。微細化、多層化とともに高耐電圧、大容量データ処理、高速伝送へ向けた技術と新素材の開発が行われており、大量のデータ処理に必要な端子ピン数の増大と狭ピッチ化が進行している。
これらの半導体の製造、機能試験用のプリント配線板では、狭ピッチ対応とともに100層を超える超高多層化が要求される。多層化しても検査装置に収まるように薄くできる極薄新素材の開発とともに、多層板上の微細回路に正確に貫通する極小径穴加工技術など製造技術の開発が求められている。
OKIサーキットテクノロジー 事業企画本部 企画第二部 部長の熊木雄大氏も「ICで扱う情報量が大きくなり、ピンの数が増える一方で、小型化が求められるためピンとピンの間のピッチが必然的に狭くなる。そうするとピンを差し込む基板側も穴同士がくっつかないように穴を小さくし、さらにそこにめっきをしなければならない」と述べる。
同社 執行役員 上越事業所 統括責任者の小池清氏は「半導体が進化すれば、それを載せる基板とともに、それを検査する装置も進化しなけれならない。ユーザーの基板が多層化に対応する必要がある」と語る。
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