Rapidusと連携深めるテンストレント、東京オフィスで半導体エンジニアを積極育成:人工知能ニュース(2/2 ページ)
テンストレントが新たに入居した東京オフィスで会見を開き、来日した同社 CEOのジム・ケラー氏が2nmプロセス半導体の製造で協業しているRapidusとの関係や、日本国内における今後の取り組みなどについて説明した。
チップレットを用いた車載半導体の標準化へ「ASRAとも協調したい」
テンストレントの事業は、半導体IPビジネスと、同社のIPを実装したAIアクセラレータを搭載するモジュールやワークステーション、サーバなどのAI製品ビジネスに分けられる。
半導体IPビジネスで注目の取り組みとなるのが「Automotive Open Chiplet Concept Ecosystem」だ。モノリシックの半導体デバイスと同じレベルのコストでパッケージ可能なチップレットを用いて、IVI(車載情報機器)やAD(自動運転システム)/ADAS(先進運転支援システム)を実現する機能を1パッケージに集積することを目的としている。
ここで重要になるのが標準化だ。“Open”とある通りオープンアーキテクチャとして標準化を呼び掛けていくものになる。日本国内でもチップレットを用いた車載SoCの研究開発団体としてASRA(自動車用先端SoC技術研究組合)があるが、「ASRAともぜひ協調していきたい」(テンストレント Japan Country Managerの中野守氏)としている。
AI製品ビジネスについては、2025年2月にネットワールド、同年3月にマクニカと代理店契約を締結した。さらに同年3月、Unsung Fieldsとの間で、共同ブランドのAIクラウドプラットフォームを構築するための戦略的技術提携を締結した。
2025年6月をめどにスピーディーにAI推論環境を利用できるホスティングサービスを、同年10月には高い処理効率と省電力性能を備えた推論特化型クラウドサービスであるTaaS(Token as a Service)を提供する。Unsung Field 代表取締役社長の潮田和則氏は「当社は日本とスリランカの技術を融合してAI開発を加速させる環境の提供を目指している。今回のテンストレントとの提携に基づき、まずは国内にデータセンターを3〜4カ所構築していきたい」と述べている。
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