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電極が半固体の次世代電池で目指す、EVの課題解決電動化(3/3 ページ)

24Mテクノロジーズはリチウムイオン電池向けの電解液「Eternalyte(エターナライト)」のラインアップを拡大した。

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24Mテクノロジーズが描く電池による課題解決

 24Mテクノロジーズは、電解液とセパレーターに加えて、電極やセル/パック一体化の製造プロセスも開発している。

 電極の製造プロセス「LiForever」と封止された正負極電極を直接電池パックに組み込む製造プロセス「ETOP」は、設備投資を大幅に抑制しながら、電池材料を直接再利用できるようにする。同社の電解液やセパレーターと全て組み合わせることで、電池の安全性やEVの走行可能距離の向上に加えて、低温環境への対応、コスト低減、持続可能性などバッテリーの課題解決に広く貢献したい考えだ。


24Mテクノロジーズの独自のセル構造と生産プロセス[クリックで拡大] 出所:24Mテクノロジーズ

 24Mテクノロジーズの技術をフル活用し、負極にリチウム金属を採用すれば、三元系としては「世界最高のエネルギー密度を出せる。原理的には重量エネルギー密度が550Wh/kg、1回の充電でEVが2600km走行できるバッテリーも作れる」(太田氏)。走行可能距離の水準を下げれば、バッテリーを小型化してEVを軽く安価にすることもできるという。1回の充電で長距離を走行でき、短時間の急速充電で十分となれば、急速充電によるバッテリーの劣化を抑制し、EVの残存価値の低下を食い止めることにもつながる。

 現在、全固体電池や半固体電池の多くは電解質を固体/半固体にしたものを指すが、24Mテクノロジーズは、電極を半固体にするアプローチで取り組んでいる。24Mテクノロジーズの電極は、ライセンス供与を受けた京セラがクレイ型電池として商品化した。住宅用定置型蓄電システムに搭載されている。2026年度には京セラはクレイ型電池の生産を倍増させる計画だ。

 24Mテクノロジーズの電池は、電極を半固体にし、パウダー状の電解質を採用する。「うどんやパスタを作るのに近いシンプルなプロセスだ。ドライ工程が少なく、設備投資の抑制やCO2の排出削減にも貢献する」(太田氏)

 また、バインダーを使用しないことも特徴だ。バインダーがないことでリチウムイオンが真っすぐ移動できるようになり、電極を厚くすることができるという。これにより、セパレーターや銅箔、アルミ箔の使用量を減らす。コストを低減しながらエネルギー密度を向上できる。

 バインダー不使用はリサイクルしやすさにも寄与する。24Mテクノロジーズの電池は正極と負極を分けてアルコールの洗浄液に入れ、超音波をかけるとアルミ箔や銅箔と分離できる。洗浄液を取り除くと活物質の粉末を取り出せる。電解質も分離できる。

 従来の構成ではバインダーを取り除く作業が活物質にダメージを与える。再利用するにはエレメントまで戻す必要があるが、リン酸鉄は安いので廃棄する方が経済的で、ニッケルやコバルト、銅など高価な金属だけリサイクルしているのが現状だ。

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